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各国の再生可能エネルギーの発電状況を探る

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 太陽光発電は再生可能エネルギーの中でももっともメジャーな様式だが

アメリカ合衆国がトップで中国が続く

エネルギー開発や発電環境で今一番注目を集めている、再生可能エネルギー。各国の注力ぶりを推し量るため、発電量の現状などを、国際石油資本BP社が公開している白書「Statistical Review of World Energy」から探る。

次に示すのは各再生可能エネルギー発電所による発電・消費量を、エネルギーとしての石油換算で算出し、計上したもの。最新値となる2014年分に関して、数字(石油換算100万トンを1.0)が1.0以上のものについて具体的にグラフに反映している。なお「再生可能エネルギー」とは風力発電、地熱発電、太陽光発電、バイオマス発電、廃棄物発電などを指す。水力発電は別途計上されており、今件には含まれていない。エネルギー関連では常に上位についているアメリカ合衆国が、再生可能エネルギーでもトップ。

↑ 再生可能エネルギー発電所発電による電力消費量(2014年)(100万トン(石油換算))(1.0以上、国名判別分のみ)
↑ 再生可能エネルギー発電所発電による電力消費量(2014年)(100万トン(石油換算))(1.0以上、国名判別分のみ)

アメリカ合衆国の65.0(×100万トン石油換算)は、同国の原発発電量189.8の約1/3に相当する。内訳としては風力発電の割合が大きく、約2/3を占める(41.6)。

アメリカに続くのは中国。これは同国での再生可能エネルギーの加速度的な伸びによるところが大きい。もっとも同国ではそれ以外のエネルギー生成量(≒消費量)も急増しているので、特に珍しいものではない。

第3位はドイツ、そしてスペインが続く。両国が上位についているのは、太陽光発電の国策的な電力買取によるところが大きい。もっともこの国策も、国家財政と健全なエネルギーバランスの維持の上ではプラスをもたらさないとの認識が強まり(例えば「国の買い取り制度」も結局は国民の負担が増えるだけ)、大幅な軌道修正を行っているため、今後もこの順位を維持できるかは不確か。

今世紀に入ってからの動きを確認

これを2014年の上位国などから抽出する形で、2001年からの(つまり今世紀の)推移を眺めたのが次のグラフ。

↑ 再生可能エネルギー発電による電力消費量(2001~2014年)(100万トン(石油換算))
↑ 再生可能エネルギー発電による電力消費量(2001~2014年)(100万トン(石油換算))

アメリカでは国策としてエネルギー創出に対する関心が高く、各方面の再生可能エネルギーに対する研究も盛んにおこなわれている(昨今のシェールガス・オイルの開発も良い例)。絶対量はともかく、この成長ぶりが、同国のエネルギーに対する熱意を表している。

他方ドイツやスペインの伸びは直上で示したように、主に太陽光発電エネルギーの固定買取制度によるもの。しかし加速する財政的負担に、技術進歩によるコストダウン・安定性の増大が追い付かず、国の財務状態を悪化させることとなり、制度そのものが行き詰っている。今後において、これまでの伸び率が維持できる可能性は低い。実際、スペインは横ばいにシフトしている。

インドや中国も、ここ数年間で高い伸び率を示している。特に中国は大きな上昇カーブを描いており、2011年にはドイツを抜いて世界第二位に躍り出た。これは両国の経済発展に伴い、エネルギーの必要性が急増したことによるもの。再生可能エネルギーに限らず、他のこれまでの記事にある通り、他の主要エネルギーもまた、続々と生産・消費量を積み増している。

なお、これらの再生可能エネルギーが、各国の発電・消費電力においてどの程度の貢献をしているかについては、別資料を元にしたもので、かつ少々古いものとなるが、次のような形となる。

↑ 主要国の電源別発電電力量の構成(2012年)
↑ 主要国の電源別発電電力量の構成(2012年)

大よそ「その他」の部分が再生可能エネルギーに該当する。ドイツやイタリアはともかく、多くの国ではまだ補完的な立ち位置以上にはなり得ていないのが現状ではある。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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