新聞とインターネット、広告費はどちらが上か(2014年)
インターネットの普及浸透に連れ、広告媒体としての存在感も増してくる。相互のやり取りも盛んな新聞との間における両者の広告費の動向を、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査の結果を基に確認し、パワーバランスの変化を推し量ることにする。
直近の値となる2014年10月分の4大従来型メディア(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)とインターネットにおける、月次の広告費は次の通り。テレビが最多で、続いてインターネット、そして新聞が並ぶ。
現時点ではインターネット広告が新聞より上だが、ほんの数年前までは順位が逆転していた。この数年で両者の金額は大きく変化し、順位も入れ替わる事態が生じている。特定サービス産業動態統計調査では2006年1月分からインターネット広告の額面が取得できるので、それ以降の両者の動きをグラフにしたのが次の図。
2006年1月のインターネット広告費は80.3億円。一方同時期の新聞広告費は541.3億円。
インターネット広告は2009年までは「漸増」程度の上昇傾向だった。しかし2010年に入ってからは上下変動幅を大きくしながら、全体的には上げ幅を拡大している。特に年末の12月と年度末の3月には大きく上振れするのが特徴的。消費一般もこの時期に拡大する傾向にあるため、それに合わせてのものだろう。
一方、新聞は静かに減退。2010年に入るとようやく下げ止まった感はあるが、時折大きな下げを見せる。新聞そのものの発行部数は減少し続けており、今後再び大きく下げる方向に動く可能性は高い。
そして2013年に入ってからは、インターネット広告の額が新聞を上回る機会が多々生じている。
インターネット広告費の上昇率が大きくなる2010年以降に限り、グラフを再構築したのが次の図。「インターネット広告費>>新聞広告費」を記録した月の、インターネット側の値の丸を黄色で塗りつぶしている。さらに差異が分かりやすいように、「インターネット広告」から「新聞広告費」を差し引いた結果の推移も併記した。
現時点で二者間の立ち位置が逆転した月は2011年3月に始まり、全部で29か月分(2014年10月分まで)。2013年に入ると2月以降は継続してインターネットの優勢が続き、2013年11月と2014年1月にイレギュラー的に逆転現象が起きた以外は、インターネット広告が優勢の月が続いている。現在はイレギュラー的な事象でもない限り、「従来型4マスメディアとインターネット」との仕切りにおいて、「市場規模で比較してテレビの次に来るのは新聞では無く、インターネット広告」との状況は、固定化されつつある。
メディアのすう勢を推し量る物差しの一つ「広告費市場規模」に関しては、事実上インターネットが新聞を追い抜いたと見て、まず問題はあるまい。
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