【川崎市】「バリアフルレストラン」って知ってる?「誰も取り残さない社会」へ 違和感をひとつずつ体験
昨日は、川崎市の「パラムーブメント」の集大成のようなイベントが川崎駅前で展開されていました。ラゾーナ、アゼリア、ルフロンの三箇所で盛大に催されましたので、目にした方も多かったかもしれません。行かれた方はいますか?
ルーファ広場での「パラパーク」
ラゾーナのルーファ広場では「かわパラ2022パラパーク」と銘打って、パラスポーツの体験や、ステージパフォーマンス、ワークショップなどが行われていました。
ボッチャや、車椅子バスケットボールなどの体験も。
ルフロンでの「e-sports」
北口のルフロン前の広場では、「e-sports」にチャレンジするイベントが。
私はお恥ずかしながらe-sportsという言葉を知りませんでしたが。これはコンピューターゲームをスポーツとして捉える言い方なんですね。
障がいの有無にかかわらずゲームを操作できるためのデバイスやツールを開発する「テクノツール」の島田さんと少しお話ができました。
島田さんの会社が作ったツールを使えば、上肢に障がいがあったとしても問題なくゲームをプレイでき、みんなが平等に勝負することができる!実際にエキシビジョンマッチを行い、トークセッションも非常に盛り上がったとのことです。
(ひさしぶりに「ぷよぷよ」をやってみましたが、そもそもゲームが下手くそなのでかなり恥ずかしい結果にw)
福田市長も体験なさっていました。
アゼリアでの「バリアフルレストラン」
そして、私の本日のメインはこちら!アゼリアの特設会場にできた「バリアフルレストラン」です。
こちらは車椅子ユーザーが当たり前という社会を想定して作られたレストランです。体験者はその世界ではイレギュラーとされる「二足歩行者」として、このレストランに入り、車椅子社会に合わせて作られたさまざまな不便と向き合います。
以前にニュース記事で読んで話題になっていたので、この体験プログラムのことは知っていたのですが、まさか川崎で体験できるとは!と、プレスリリース をいただいてすぐに申し込みをしました。
低い天井、椅子のないテーブル
特設会場なので、プレスリリース で想像していたよりも「作りつけ」感はありましたが、そこは想像力でカバーです(笑)。
体験者は、五人ほどのグループで中に案内されます。中には車椅子の店員さんがいて色々と案内してくれますが、まず入ってすぐに頭をぶつけます。天井が車椅子での移動にぴったりのサイズなのです。
「二足歩行だと不便ですね」と同情され「あそこにあるヘルメットをかぶっていいですよ」と用意してあるヘルメットを指差されます。
「当店でも最近では、二足歩行の人に配慮した取り組みをして、認証をもらってるんですよ」とドヤ顔で言われますが、どのへんがそうやねん、と言いたくなりますw
ビュッフェスタイル、ということになっていますが、椅子はどこにもなく、トレーを持っても、中腰で食べるしかありません。(実際のレストランではなく、あくまで体験なので提供されるのはお水と袋菓子でした)
「今日は何で来たんですか?」と聞かれ「バスです」と答えると、「え、二足歩行なのにバスに乗れるなんてすごいですね!」「たいへんですよね」と口々に言われます。
終始、かけられる言葉は労りから出たものだし、優しいのですがなんだかモヤモヤ。これが、当事者の方がいつも抱えている、現行の社会に対する思いなんですね。
障害は社会が作り出す?
この「バリアフルレストラン」は、障害は社会が作り出す、ということをテーマにしているということなのですが、この体験をした後だと、それがリアルにわかります。
SDGsの全体目標「誰一人置き去りにしない社会を」に、寄り添う形で作っています。
いつもは当たり前、と思っていることも、見方を変えるとまったく当たり前ではなくなる、ということを体験でき、仮想の世界とわかってはいても、自分が感じる違和感の正体と向き合うことができます。
外にはこのようなパネルの展示もあり、社会の中に当たり前に存在する現象に対して「置き去りにされている」人がいることを示しています。
普段何気なく使っている用語も、よく考えると「あれ?」と思うものがありますよね。
私はイクメンという言葉があまり好きではなかったのですが、これは「子育ては女性がするもの」という前提があってこそ生まれる言葉だから嫌だったんですね。
女医の反対も単に「医者」だとしたら確かにおかしいですよね。女優に対しては男優という言葉があるんですが、これも歴史の浅い言葉ではあります。
バリアフルレストランでは、二足歩行者は「置き去り」にはされていなかったのですが、ヘルメットなんかかぶらないで好きなところで気持ちよく食べたい、という基本的な欲求は叶えられず、常に聞かれたくもないことを聞かれたり、頓珍漢に褒められたりするという体験をしました。
このように、社会で当たり前だと思われていることが障壁を作り出していることもある、ということをまずはひとりひとりが自覚していくことが大切なんだな、と感じました。
気付きの多い1日でした! 川崎市は共生社会の実現に向けて「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」の先進的な取組を進める「共生社会ホストタウン」にも登録されているということですので、今後も様々な取り組みが行われていくことを期待しています!
バリアフルレストラン
公式サイト:https://dare-tomo.team/