九州・中国地方・北陸は梅雨明け なぜ四国は梅雨明けしないのか
13日(火)午前、福岡管区気象台と広島地方気象台はそれぞれ、九州北部(山口県を含む)と中国地方が梅雨明けしたとみられると発表しました。いずれも平年より6日早い梅雨明けとなりました。また、14日(水)午前には新潟地方気象台から平年より9日早く北陸地方は梅雨明けしたとみられると発表されています。
ただ、両日とも高松地方気象台からの四国地方の梅雨明けは見送られています。四国を飛び越えて中国地方や北陸が梅雨明けしたことに疑問を持っている方は多いかもしれません。では、なぜ四国は梅雨明けしないのか?理由は大きく2つあると考えられます。
理由①上空に寒気が流れ込んでいるため
この先の予想される気圧配置を見ると、梅雨前線は四国付近からは離れて不明瞭になる見通しです。ただ、四国地方の上空5500m付近にはマイナス6度以下の寒気が流れ込んでいて、しばらく四国上空に居座りそうです。
上空に寒気が流れ込むことで、大気の状態は不安定となり局地的に雷を伴う急な強い雨やバケツをひっくり返したような激しい雨が降るおそれがあります。場合によっては、傘がまったく役に立たないような非常に激しい雨が降る可能性もあります。
実際に14日(水)正午現在は、上空の寒気の影響で徳島県南部を中心に雷雨となり雨足が強まっています。(ご自身の近くの雨雲の様子やキキクルはこちらから確認できます)
理由②太平洋高気圧のふちを回る湿った空気が流れ込むため
梅雨明けしない理由はもう1つありそうです。各気象台が梅雨明けを発表する目安の1つに、南から張り出す太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多くなることが挙げられます。15日(木)午後9時の予想天気図を見ると、四国は太平洋高気圧に覆われるように見えます。ただ、この高気圧のふちを回って、雨雲のもとになる暖かく湿った空気が四国には流れ込みやすくなる見込みです。
そのため、上空の寒気の影響で大気の状態が不安定になるだけではなく、湿った空気のぶつかりやすい太平洋側で断続的に雨が降りやすいでしょう。同じような場所に湿った空気が流れ込み続け、予想より雨足が強まり大雨になる可能性も否定できません。
つまり、四国は上空に寒気が流れ込み、下層からは暖かく湿った空気が流れ込む見通しのため、予想天気図上は梅雨前線が不明瞭になっても隠れた梅雨前線が停滞すると考えてください。
まだ四国は大雨シーズンが終わっていない
なぜ各地方気象台から梅雨入りの発表があるのかというと、「大雨の時期に入るため、大雨への備えをしてください」という防災上の意味合いが大きいからとされています。ただ季節の移り変わりを知らせるだけではありません。つまり、上記の理由から四国ではまだ大雨になる可能性があるため、梅雨明けの発表は見送られたと考えられます。
この先の雨の予想を見ると、15日(木)から18日(日)ごろにかけて太平洋側を中心に雨が降りそうです。特に15日(木)から16日(金)を中心に、予想より雨足が強まる可能性もあります。また、瀬戸内側でも急に雨が降り、雷を伴い雨足が強まるおそれもあります。
周辺地域が梅雨明けしたからと言って油断せず、非常用品、避難経路やハザードマップの確認をするなど大雨への備えを怠らない方がいいでしょう。
四国の梅雨明けはいつごろか
では、四国の梅雨明けはいつごろになりそうなのでしょうか。四国の梅雨明け平年日は7月17日ごろです。四国の週間予報を見ると、12日(月)朝の予報と反して18日(日)ごろまで曇りや雨のマークが目立つようになりました。
四国の上空に居座る寒気は、18日(日)には抜けていく見通しです。高気圧のふちを回る湿った空気の流れ込みは18日(日)ごろまで続くでしょう。まだ予報にはブレがありますが、四国の梅雨明けは19日(月)以降の可能性があります。
ことしは太平洋高気圧が東から張り出してくる予想のため、もしかすると四国より関東甲信や東北の方が早く梅雨明けするかもしれません。
■参考
『気象災害から身を守る大切なことわざ』弓木春奈 (河出書房新社)