米国債保有額、日本が大きく減少させるがトップは変わらず
米財務省が11月18日に発表した9月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、引き続き日本がトップとなったものの、前月比較で日本の米国債保有高は少なくとも2000年以来で最大の減少を記録した。
日本の9月における米国債保有額は1兆1458億ドルとなり、前月比で289億ドル減少した。これに対して中国は1兆1024億ドルとなり、前月比で11億ドルの減少に止まった。日本と中国の米国債残高の差は縮小したものの、日本のトップは変わらずとなっていた。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1145.8-28.9
中国(China, Mainland) 1102.4-1.1
英国(United Kingdom) 346.2-3.7
ブラジル(Brazil) 301.2-10.3
アイルランド(Ireland) 274.1 +1.6
ルクセンブルク(Luxembourg) 252.5 +8.1
ケイマン諸島(Cayman Islands) 238.7 +2.4
スイス(Switzerland) 231.3-1.9
香港(Hong Kong) 224.2-0.4
ベルギー(Belgium) 218.3 +0.4
日本の大幅な売り越しなどが影響し、海外投資家による米財務省証券投資は、343億2400万ドルの売り越しとなり、昨年12月以来の高水準となっていた。
日本が政治的な要因で米国債を売却することは考えづらい。このため、米国債市場の動向を受けてのポジション調整的な動きが入っていたとみられる。
米10年債利回りは9月3日に一時1.42%まで低下し、過去最低の1.31%に接近した。また、日本の10年債利回りも9月4日にマイナス0.295%まで低下して過去最低のマイナス0.300%に迫っていた。9月4日には債券先物も155円40銭まで上昇して過去最高値を更新していた。このあと米国債も日本国債も価格が大きく下落していた。
利回りからは過去最低がみえ、いったん達成感が出た。そこに米中が通商交渉で歩み寄りをみせはじめ、英国の合意なき離脱の可能性がひとまず後退した。金融政策を決める会合ラッシュを前に、アンワインドの動きを強めたとみられる。ECBは包括緩和策を決定し、FRBは予想通りの利下げを行った。日銀は動かなかった。
このあたりからいったん債券相場は切り返すことになるが、その前に日本を中心にポジション調整的な売りが入っていた可能性がある。