93.6%と圧倒的な動画視聴率…9歳以下の子供達のネット利用実情
インターネットは多様な価値観の世界へ瞬時に足を踏み込める、魔法の杖のような存在。それを用いて幼い子供達は何をしているのだろうか、その実情を内閣府が2024年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。
次に示すのは何らかの機種でインターネットを利用している人に対し、そのインターネットの操作で何をしているかを複数回答で尋ねた結果。動画視聴をしている人がもっとも多く、93.6%を示す形となった。なおグラフの横軸の項目は元資料の並びのままにしている。
具体的にどのような動画なのか、視聴頻度や時間はどれほどなのかまでは問われていないが、「(普段は)インターネットで何をしている?」との質問に「動画を見ている」と答えられる程度には視聴していることに違いはない。次いで多いのはゲームで64.7%。エンタメ目的の利用が多分におよんでいることになる。
次いで多いのは勉強で40.0%。音楽視聴の24.7%、情報検索の24.3%、撮影や制作、記録の15.5%が続く。コミュニケーション(電子メール、メッセンジャー、ソーシャルメディアなど)は12.3%。
これをインターネットを利用する機種別に見たのが次のグラフ。ただし一部機種では回答総数が少数のため、データにぶれを起こしている項目もある。まずはモバイル系機種。
スマートフォンでは動画視聴やゲームの値が多いが、従来型携帯電話ではコミュニケーションが最大値となり、他の用途は1割前後にとどまっている。これは機種で利用できるか否かとの性能上の問題によるもの。また、子供に従来型携帯電話を保護者との連絡用として持たせている場合も少なからずあるだろう。
また単なるスマートフォンと未契約のスマートフォン(自宅などのWi-Fiでインターネットに接続する)との間では、利用スタイルに大きな違いは見られないことが確認できる。これは未契約のスマートフォンを与えられた子供が、利用を自宅内に制限されているからかもしれない。自宅のWi-Fi経由でインターネットを利用する限りでは、単なるスマートフォンとほぼ同様に使えるからだ。自宅内で利用するからこそ、コミュニケーションの値が未契約のスマートフォンでは低めになっている。
続いて自宅用のパソコンやタブレット型端末、家庭用ゲーム機など。
自宅用パソコンやタブレット型端末と比べると、学校配布・指定のパソコンやタブレット型端末では情報検索や勉強、撮影や制作、記録といった特定用途での利用でのみ値が高くなっている。音楽視聴や動画視聴、ゲームといったエンタメ系の用途は、学校配布・指定のパソコンやタブレット型端末では低い値にとどまっている。あくまでも学習目的で配布されたのだから、遊びには使えないということなのだろう。
ゲーム機は当然の話だが、ゲームに特化している。他方、動画視聴をする人も27.9%と高い値が確認できるのは興味深い。その他の利用目的はごく少数派でしかない。
あまり注目されることのないテレビだが、他機種同様動画視聴がもっとも高い値。そのほかには音楽視聴が15.1%、ゲームが8.9%。インターネットも使えるテレビで何をしているのか気になる人も多いだろうが、子供に限れば動画や音楽、ゲームという次第ではある。
■関連記事:
【スマートフォンでの動画視聴、親子でトップは「音楽・ミュージシャン」・子供はアニメやゲームなどエンタメ系で高い視聴率】
【小学1年生8.5%、高校2年生は96.8%…子供達の携帯電話保有状況(最新)】
※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2023年11月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年11月1日から12月7日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2160人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ309人、93人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。