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エンジェルスがドラフト19巡目に指名した選手は、トラウトとプレーするより先にトラウトと親戚になりそう

宇根夏樹ベースボール・ライター

未来のメジャーリーガーに向かって、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)が祝福のツイートをした。その相手はアーロン・コックス。ドラフト3日目の6月10日に、エンジェルスから19巡目・全体585位指名を受けた大学生だ。

現在23歳のトラウトは、2009年のドラフトで全体25位指名を受け、ミルビル高からエンジェルスに入団した。20歳のコックスは、ミルビル高からギャビン大へ進み、今年のドラフトにかかった。

それだけではなく、2人は高校の先輩と後輩という以上に近しい。トラウトは高校時代から、コックスの姉、ジェシカ・タラ・コックスと交際している。トラウトもジェシカも、ツイッターのプロフィール画像に、それぞれ異なる2ショットの写真を使っている。

エンジェルスは右投手としてコックスを育てる意向のようだが、大学時代のコックスは外野や一塁も守っていた。ただ、投手であれ、野手であれ、メジャーデビューしてトラウトとチームメイトになるよりも、義弟としてトラウトと親戚になる方が早そうだ。

これまでに、メジャーリーグでチームメイトになった兄弟は100組を超える。現在も、サンディエゴ・パドレスにはメルビンジャスティンアップトン兄弟がおり、昨シーズンまではシカゴ・ホワイトソックスにジョンジョーダンダンクス兄弟がいた(ジョーダンは現在、フィラデルフィア・フィリーズ傘下のAAA)。

もっとも、義理の兄弟はそこに含まれていない。皆無ではなく、カールトン・フィスクの妹と結婚したリック・ミラーは、1970年代にボストン・レッドソックスで義兄のフィスクとともにプレーしているが、これはかなり稀少と思われる。

ミラーが未来の妻と巡り合ったのはマイナーリーグ時代で、フィスクとは当時もチームメイトだった。他にも、チームメイトの姉妹(あるいは義姉や義姉)と結婚した例はいくつかある。

トム・キャンディオッティの妹と結婚したブラッド・ウェルマンや、マット・ハージェスの妹を妻にしたトッド・ホランズワースがそうだ。また、互いの妻が姉妹であるデーブ・エングルトム・ブルナンスキーの場合も、このパターンに当てはまる。2人がミネソタ・ツインズでプレーしていた時、エングルのロッカーに貼ってある写真に目を止めたブルナンスキーが、エングルの妻と一緒に写っている女性を紹介してもらったという。

ただ、この3組とも、義理の兄弟としてはメジャーリーグでチームメイトになっていない。例えば、ホランズワースはロサンゼルス・ドジャースにいた2000年5月に、チームメイトのハージェスから妹を紹介され、12月に結婚した。一方で、ホランズワースは7月にトレードでコロラド・ロッキーズへ移り、9月にはハージェスと対戦した。その後、2人が再び同じチームでプレーすることはなかった。

現役の選手では、マニー・マチャド(ボルティモア・オリオールズ)がヨンダー・アロンゾ(パドレス)の妹、ジョシュ・レネキー(ミルウォーキー・ブルワーズ傘下のAAA)がイアン・デズモンド(ワシントン・ナショナルズ)の姉、ドン・ケリー(マイアミ・マーリンズ)はニール・ウォーカー(ピッツバーグ・パイレーツ)の姉と結婚している(古今を問わず、他にもいるかもしれないが、無名の選手同士だと見つけるのは難しい)。ケリーは結婚1年目の2007年に、パイレーツ傘下のAAAでウォーカーとともにプレーしたものの、こちらの3組もメジャーリーグではチームメイトになっていない。

また、ここまでに挙げた義理の兄弟のうち、投手と打者は3組いる。通算の対戦成績はそれぞれ、キャンディオッティ対ウェルマンが2打数0安打、ハージェス対ホランズワースが7打数3安打、レネキー対デズモンドは3打数2安打、1本塁打だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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