世界全体でのインターネットの世帯普及率はどれぐらいなのか(2023年公開版)
国連の専門機関で無線通信や電気通信分野において、各国間の標準化と規制の確立を目的として設立運用されている国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)では、毎年加盟国の携帯電話やインターネットの普及率など、各種電気通信関連の統計データを更新・公開している。今回はその中から、「世界全体のインターネットの普及率推移」の値を確認していく。
今件値は個人ベースではなく、世帯単位での普及率。今件では記事執筆時点で2020年分まで値の公開が確認できたので、その最新値も含めた経年変化をグラフとして作成する。なお今件「インターネット普及率」は「自宅からのアクセス」を前提としている。そのため、職場や公共機関(例えば学校や図書館)でのインターネット利用は対象外となる。
また後発開発途上国とは「Least Developed Countries(LDCs)」のことで、国連開発計画委員会(CDP)が認定した基準に基づき、国連経済社会理事会の審議を経て、国連総会の決議により認定された特に開発の遅れた国々を指す。一人あたりのGNI3年間平均が1018米ドル以下で、HAI(Human Assets Index。栄養不足人口の割合、5歳以下乳幼児死亡率、妊産婦死亡率、中等教育就学率、成人識字率を指標化したもの)やEVI(Economic Vulnerability Index。外的ショックからの経済的脆弱性を表す指標)が一定数以下の国である。
世界全体では世帯ベースでのインターネットアクセスが相当の割合で普及しているものの、後発開発途上国ではまだまだ少ない、2割台の世帯でしかないことが分かる。やはり社会的なインフラ整備が進んでいないことに加え、導入の上でのハードルの高さ(技術とコストの双方)が問題と思われる。
一方、携帯電話の普及率を見ると、後発開発途上国でも高い値を示しており、とりわけ後発開発途上国ではコミュニケーションツールとして、携帯電話が重要視されていることが分かる。なお高世帯年収国とは世界銀行定義で年収1万3205米ドルの国81か国を意味する。
当然ながら携帯電話(フィーチャーフォン、マルチメディアフォン、スマートフォンのすべてを合わせたもの)の全部でインターネットアクセスができるわけではない。しかしながらスマートフォンでなくとも、SMSで知人などとの間でデジタルによる意思疎通は可能。さらに昨今では先進国などに後追いする形で、後発開発途上国でも爆発的なスピードでスマートフォンが普及の動きを示しており、それに伴い携帯電話経由でインターネットにアクセスする人が増える可能性は多分にある。
機動力の高さでは携帯電話がはるかに上であること、その携帯電話の普及率が急上昇している状況を見るに、今後も自宅経由のインターネット普及率は急カーブではなく、ゆるやかなカーブを描きながら上昇していくものと考えられる。固定電話のように、普及率が低下の方向にかじ取りをすることはないだろう。むしろこの状況で、どこまで伸びを見せるのかが気になるところだ。
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