「#学費返還運動」に苦慮する大学~就実・明治学院は神対応も
◆「会うのはまず画面越しで」の1年生
コロナショックの影響は大学封鎖(構内の立ち入り禁止)や対面授業の中止、という形で出ています。
緊急事態宣言が出る直前の4月6日に公開した記事「都市封鎖より先になった大学封鎖~入学式・前期講義開始日の全国760校調査から見えたもの」
では、全国760校のうち、入学式中止が77.6%、保護者参加を拒否する条件付開催が18.4%もありました。
講義開始日も4月15日以前の開始は16.4%しかありません。4月16日~30日開始が50%、5月以降が17.1%もありました。
その後、緊急事態宣言を受けて対応を変えた大学も多く、「前期講義開始日は4月下旬か5月以降。オンライン授業か課題提出型授業を先行させ、対面授業は6月以降(または後期以降)」という対応が主流となっています。
学生の構内立ち入りは原則として禁止。
その結果、新入生はスマホやタブレット・ノートパソコンの画面越しで顔を合わせる、というケースが続出しています。
同期とZoomで初対面する今年の大学1年生(週刊アスキー 高橋暁子)
◆学生の学費減額運動が全国に広まる
大学に立ち入ることができず、講義はオンライン。しかも、全学的な導入は初めての大学ばかりであり、講義初日にサーバーダウンを起こす大学なども出ています。
一方、アルバイトをしたくても、飲食店などは休業となっていて、アルバイト先がありません。
学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査(インターネット調査で514人が回答)によると、13人に1人の学生が大学中退を検討している、と回答しています。
新型コロナ感染拡大に関する学生団体の調査で、大学生らの約6割がアルバイト収入が減ったり、なくなったりしたと回答したことが22日、分かった。親の収入がなくなった、または減ったと答えた学生も約4割に上り、調査に答えた学生の13人に1人が、大学を辞める検討を始めていると回答するなど、多くの学生が経済的に厳しい状況にあることが浮かんだ。
※共同通信配信記事2020年4月22日「学生の13人に1人が退学検討 コロナで生活厳しく、団体調査」
こうした状況を受けて、学生からは学費の減額・返還を要求する動きが広まっています。
早稲田・慶応義塾の学生2人が17日からchange.orgで「新型コロナウイルスよる早稲田大学・慶應義塾大学のキャンパス閉鎖とオンライン授業への移行を受けた、学費減額を求める署名活動」を始めたところ、23日9時時点で2800人が賛同しています。
このサイトの中で発起人となった学生は次のように訴えています。
(4/10東京都発表)を受けて、早稲田大学・慶應義塾大学では5月 6日(水) までキャンパスへの立ち入り禁止が決まりました。それに伴って両校では様々なサービスの利用が停止しています。
加えて、早稲田大学では5月11日の授業開始日、慶應義塾大学では4月30日の授業開始日よりオンラインでの授業が決定しています。
両校のこれらの対応は、学生・教職員の命を守るために適切であり、教職員の皆様が授業開始に向けた準備に尽力されていることに感謝を申し上げます。
一方で、図書館・学生食堂をはじめとする様々な施設が使用できない状況において、私たち学生が例年通りの学費を納入することは受け入れがたいのも事実です。
感染拡大に伴う経済活動の変化のあおりをうけ、経済的に不安を抱える生徒も多くいます。また、両校の学生には、学費・生活費を支払うため、アルバイトや奨学金制度を利用している者も多くいます。
そこで、両校のすべての学生(私費外国人留学生を含む、学部生および大学院生等)の学費・諸会費の減免を両校に求めます。
これより前に、青山学院大学の学生による署名活動は4月4日から開始。
青山学院や早慶など、こうした署名活動は他大学にも広がっています。
主旨も前記のものとほぼ同じです。
・生活がかなり苦しいこともあり、学費を減免・返還して欲しい
・オンライン授業や課題提出と言っても、対面型授業ほどの質が担保されているわけではない。対面授業を受けられない分、学費を減免・返還して欲しい
・図書館や学生食堂などは閉鎖でそもそも使えない。施設利用料は返して欲しい
◆大学教職員「手間は普段の数倍かかっているのに」
これに対して、各大学の教職員は複雑な心境です。
まず、オンライン授業ですが、全学的に導入していた大学は日本ではこれまでほぼありませんでした。
理工系や体育・音楽・美術など実験・実習が中心となる学部だと、対面による授業が大前提です。
文系学部でも、対面による講義をしたい、という教員側の要求と、オンライン操作が面倒、というホンネが合わさって、ほぼ導入されていませんでした。
ごく少数のゼミなどがオンライン授業が利用していた、という程度です。
それがこのコロナショックで状況は一変。
オンライン操作が面倒であろうと、実験・実習が中心であろうと、感染リスクを避けるにはオンライン授業(か、課題提出型授業)しかありません。
各大学とも、教員向けにオンライン授業の講習会を開催し、導入を促しています。
首都圏私大の教員は、こうこぼします。
PC操作はある程度、慣れているつもりだった。それがオンライン授業となって、板書で済む内容を全部、パワーポイントにまとめなければならない。
通常の講義よりも、準備が数倍かかっている。
PC操作に慣れていない高齢の教員だともっと大変だろう。サポートする大学職員も大変だ。
そうした中で、学費を返せ、と言われても、「こちらの苦労は何なんだ」と考えてしまう。
複数の大学に非常勤講師として出講している西日本の教員も、煩雑さを訴えます。
オンライン授業は必要、ということで納得はできます。
しかし、大学によって、対応がバラバラすぎます。
利用するシステムもzoomはいい、zoomはダメ。Teamsを使え…。
必要な情報を上げてくれる大学もあれば、そうでない大学もあります。
これだけ手間がかかって、それでいつもと同じ給料というのは、不満ですね。と言って、学生の学費に転嫁するわけにもいかないでしょうし…。
大学図書館の職員(東日本)も、「利用していないから施設利用料を返せ、はおかしい」と反論します。
大学教育は予習・復習や文献調査などをすることが前提となっています。そのため、大学図書館が使えずに、本来の教育サービスを提供できないのは、大学職員としても、学生に申し訳ない、と思います。
しかしですね、大学図書館や学生食堂などの施設は、学生が使わなくても維持するためのコストがかかります。
たとえば、図書館だと、閉館中も資料を収集しています。
使わないから、施設使用料を返せ、という理屈が通ると、コロナとは無関係に普段使わない学生にも施設使用料を返す、という話になります。
◆学費返還の訴訟、過去の事例は?
学生は「学費・施設使用料を返せ」。大学は「返さない」。
意見が対立したままだと、訴訟という話にもなりかねません。
それでは、過去に、今回のような学費返還訴訟があったか、調査しました。
コロナショックのような事例による学費返還訴訟はこれまでにありません。まあ、世界恐慌以来の緊急事態ですし、前例がないのは無理ないところ。
前提条件がいくつか異なる学費返還訴訟はいくつかありました。
ケース1:西南義塾事件(2001年)
石川県にある学校法人西南義塾が元生徒2人から「宣伝とは異なる教育内容だった」として同法人を提訴。
原告2人は不登校の状態になり、それぞれ98年と99年に長野県内の高校を中退。99年9~10月にかけ、同県内で開かれた同校の学校説明会で、「不登校生・中退生を応援する」などとする指導方針を知り、同10月、11月に相次いで同校へ入学した。
しかし、不登校などで単位が足りなくなると1授業当たり2000円の補習を長時間課したり、寮が一般のアパートの借り上げであったほか、施設協力金などの費用を要求されるなど、教育実態が異なっていた。そのため2人は00年1月にいずれも退学した。
原告らは「説明を受けた学費などのほかにも多額の費用を学校側に払っった。不登校などに悩む子供と親の気持ちに付け入って多額の金を払わせるため、入学前に虚偽の説明を行ったのは、詐欺行為にあたる」として提訴した。(毎日新聞2001年5月31日朝刊)
→その後、富山県の元生徒も提訴。合計1100万円の返還要求に対して、2003年、約950万円の返還で和解(すでに返還した分も含む)。
ケース2:東京アニメーター学院事件(2003年)
授業内容が広告とは異なる、として、元学生12人が東京アニメーター学院に学費など約1300万円の返還を求めて提訴。
声優などを養成する同学院は2000年9月-01年2月にかけ、雑誌に「一流に学べ!」として、野沢雅子さんら有名声優5人の写真に曜日を付記した広告を掲載した。
元学生らは、広告や入学案内を見て01年4月に入学したが、授業内容に不満を持ち、同年11月に一斉退学した。
判決は「広告などで具体的に約束した事項は、学校側に履行義務がある」と指摘。「広告は5人の声優が各曜日に授業を行うことを示しているが、実際には5人のうち2、3人の授業が週1回程度」として、退学後の学費相当分の返還を命じた。(※時事通信2003年11月5日配信記事)
→東京地方裁判所は退学後の学費相当額として415万円の支払いを命じる判決を出す(2003年)。
ケース3:学納金集団訴訟事件(2002年)
合格し、入学金・授業料を納入。その後、他大学に入学した元受験生300人以上が入学金・授業料の返還を求め、約150校に対して提訴。大学は入試要項に「いったん納めた授業料などは一切返還しない」と記入した不返還特約があるとして反論。
→2002年に文部科学省は、入学辞退をした場合、授業料を返還するよう指導。2006年に最高裁で「3月31日までに辞退の意思を示していれば不返還特約は無効」とする判決を出す。
→2012年にも東京モード学園事件などで同様の判決が出る。
ケース4:北九州予備校事件(2014年)
予備校を中退した場合、学費を返還しない、とする条項が消費者契約法に問われるかどうか、争った訴訟。原告は適格消費者団体。
→2014年に大分地裁が「規定は違法で無効」とする判決を出す。
ケース5:熊本奨学金返済訴訟(2018年)
熊本地震で奨学金返済を滞納した世帯に対して熊本県が提訴。
2011年~2015年に高校生(当時)3人が熊本県育英資金を借りる。2016年に熊本地震が起き、2017年に返済猶予期間が終了するも、奨学生本人と連絡が取れなくなる。
→2018年に熊本県は熊本簡易裁判所に提訴。一括返済を認める判決が出る。
県教育委員会は「奨学生本人と連絡が取れず、話し合う場を持つために法的措置を取った」と説明する。
一家の自宅は16年の地震で半壊。男性はアルバイトなどで生計を立てていたが、職場が被災し一時は収入も途絶えた。妻(45)は「払いたくても払えない状態だった」と話す。
県によると、被災を理由に返済猶予が認められた奨学生は約160人。滞納するケースもあるが返済の意思が確認できていたため、提訴に至ったのは今回が初めてという。県議会常任委で高木健次委員長は「借りた人の状況を考えながら対処しなければ」と県側に苦言を呈した。
※西日本新聞2018年10月3日朝刊「熊本地震で百数十万円滞納 被災奨学生らを県提訴」
広告にあった授業が展開されなかったことで返還要求をしたのがケース1とケース2。
ケース3はそれまで大学の慣例だった授業料不返還が一気に変わりました。
ケース5は震災によって奨学金滞納となった世帯が訴えられた事件です。
今回のコロナショックだと、あえて言えば、ケース1・ケース2が近いでしょうか。
ただ、各大学とも、学生を騙そうとして対面講義をしていないのではなく、感染リスクを減らすために仕方なくオンライン講義に切り替えています。しかも、1校だけの話ではなく全国どの大学でも同じであり、そう考えるとケース1・ケース2は当てはまらない、とも言えます。
ケース3は、入学前、という点で、コロナショックによる学費返還要求とは大きく異なります。
ただ、2002年までは、授業料は返還しない、とするのが大学業界の常識でした。それが、集団訴訟によって、状況は一変。
2002年当時、私は某進学情報誌編集部に在籍していました。ちょうど、受験情報をまとめた増刊号を担当していたのですが、この授業料返還について、各大学が入稿作業中にバタバタと変えていったことを覚えています。
このコロナショックについても、学生がアルバイトをできる状況にない、一斉にオンライン講義に切り替えた、という点では同じ、と言えるでしょう。
ケース5は、今後、こうしたケースが起きてもおかしくない、ということで入れました。
◆明治学院、全学生に5万円を支給
学生の学費返還については、古市憲寿さんなどコメンテーターや識者も賛同する中、21日、明治学院大学が全学生に5万円を支給する、と発表しました。
別途お知らせしておりますように、遠隔授業を実施していくにあたり、本学では学生 各自によるオンライン環境の整備をお願いしております。インターネット環境の整備、パソコン、周辺機器、といった準備が必要になります。そのための経費負担を少しでも軽減し、学修環境全般を整えていただくための緊急支援として、奨学金積立額より在学 生全員に一人当たり一律 50,000 円を支給いたします。(具体的な支給方法については、 おってお知らせいたします)
※明治学院大学2020年4月21日「新型コロナウイルス禍に対する明治学院大学の対応について」より
合わせて、家計急変者への支援と学費納入期限の延長(5月末)も発表しました。
明治学院大学は、この発表の中で授業料・施設使用料の減額・返還については否定しています。
明治学院大学では、オンライン授業の期間があっても、例年と変わらない質とレベル を保った教育を行うことを第一に考えております。当分の間、対面授業ができないという制約がありますが、そうした中でも明治学院の目指す教育をできるかぎり続けていくことが、本学に求められていると考えます。本学では「授業料」「施設費・設備費」については、これを単なる「個々の教育サービスに対する対価」や施設、設備の「利用料」とみなす考え方には立っておりません。新型コロナウイルス禍が終息するまで、オンライン授業によって教育の質を維持すると同時に、キャンパス、施設、設備の維 持管理にも万全を期す所存です。 したがいまして、現時点で「授業料」「施設費・設備費」の返還ならびに減額は考えておりません。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
※前記サイトより
5万円というまとまった金額を全学生に出すのは異例であり、ネットでは「神対応」と称賛する意見が相次ぎました。
◆岡山・就実大は全学生に3万円支給
実はこの明治学院大学より前に、同じ趣旨で全学生に支給を決めた大学が岡山県にある就実大学です。
明治学院大学の発表は4月21日でしたが、就実大学は4月16日。
本学におけるオンライン授業の実施や教職員と学生間との連絡・通信のためには、個々の学生が PC やタブレット端末などの情報機器を確保し、インターネットの通信環境が構築されることが不可欠です。しかし、PC 等の情報機器を保有していない学生もおられます。このため、全学生に対して、最低限の情報機器を取得し、増大する通信費等に対応できるように、就実学園から一定の金額を支援金として支給することといたしました。具体的には、3 万円相当の普通為替証書を 5 月上旬までに保護者のご自宅に郵送する予定です。情報機器の製造、調達が遅延しておりますが、機器の取得 等の費用に充当して下さるようにお願いいたします。
このような厳しい時期において、遠隔教育の全学的な体制を本学が率先して整備することは大変重要なことです。また、教育活動を停止させず、様々な工夫によって充実させるために全力を尽くすことは本学の責務と言えます。すべての学生諸君や保護者の皆様方と教職員が協力・連携して、この未曾有の試練を克服してほしいと希望しております。 今後とも、就実学園へのご協力、ご理解を切にお願い申し上げる次第です。
就実大学を運営する学校法人就実学園法人事務局に取材を申し込んだところ、以下の返答をいただきました。
学生や保護者からの反応は為替郵送がまだこれから、ということもあり、特にない。
学外からの問い合わせは何件かあった。
学内からは「こういう時期だし、ノートパソコン・タブレットを持っていない学生も多いし、通信費等がかさむことも想定できるので、必要な施策ではないか」との意見が多数。
ネットでは明治学院大学の話ばかり注目されていますが、全学生一斉に、という点では私が確認した限り、今のところ、就実大学が日本で最初に発表しています。
なお、芝浦工業大学は4月22日に全学生に対して、臨時奨学金(給付)の6万円給付を発表しました。
具体的には、前期オンライン授業対応のためであり、2020年度後期の学費から6万円を減額して請求する形にするとのことです。
追記
本記事を出した4月23日同日、山梨英和大学は全学生に対して、自宅でのネット接続環境の整備を目的として「自修環境整備補助」の名称で、1人当たり一律5万円を支給するリリースを発表しました。
こちらは5月以降に口座振り込みとのこと。
また、4月23日には、獨協大学(埼玉県)が全学部生・大学院生に「2020年度獨協大学遠隔授業支援特別奨学金」として10万円を給付する、とのリリースを発表しました。
申請期間は5月11日(月)から17日(日)、給付は5月18日(月)から22日(金)。申請方法、給付方法の詳細は、別途告知とのことです。
◆学費納入期限の延長は各大学で広がる
明治学院大学が発表した学費納入期限の延長については他大学でも相次いでいます。
龍谷大学:申請により、7月15日までの延長。または3回(5月15日、6月15日、7月15日)に分けての納入が可能。
和光大学:申請により、9月1日まで納入延期。
明星大学:申請により7月31日まで納入延期。
東海大学:5月末まで延長
ここに出していない大学でも、ほとんどの大学では家計急変となった場合の学費納入について延期を認めています。
もし、学費納入が難しい場合、まずは大学の学生課(または学費納入の担当部署)に相談するといいでしょう。
※本稿執筆中に、同じYahoo!ニュース個人で「【退学しないで!】世帯収入・バイト激減!大学生・専門学校生がいま利用できる支援制度【学費・授業料】」(末富芳)が公開されました。支援制度がまとまった良記事であり、一読をお勧めします。
◆就実・明治学院方式が落としどころか
18年間、大学を取材している私も、今回のコロナショックについては初めての事態です。
これは、大学教職員や学長など経営幹部も同様でしょう。
一斉休校・入構禁止、オンライン授業への全学的な切り替え、そして学生はアルバイトできる状況にない…。
世界恐慌以来の緊急事態であり、学生であれ、社会人であれ、戸惑うのは無理もありません。
と言って、学生が本来の教育を受けられない、これを放置していていい、というものでもないでしょう。
何もしないままだと、学生によっては、冒頭で紹介した学生団体の調査にあるように、中退を迫られることもあります。
あるいは、非合法のアルバイトに手を出してしまったり、マルチ商法・ネットワークビジネスなどに手を出して、ボロボロになる、というケースも考えられます。
一方で、大学教職員も、コロナショックをどう乗り切るかで忙殺されています。
それから、施設の維持にも費用がかかる、という点を考えれば、施設料の返還はちょっと無理があるでしょう。
私はオンライン授業を受講する環境を整備するための補助、という点で就実・明治学院の両校が実施した方策が落としどころ、と考えています。
大学によっては、ノートPCやタブレットを全学生に支給・貸与したうえで、通信費用を補助、というところも出てくるはずです。
※なお、畿央大学など一部の大学・学部では、全学生にノートPC・タブレットを支給・貸与としているところもあります。
◆学費延納のうえで、学生に手伝ってもらう手も
それと、学費納入は5月末、できれば、和光大学のように9月までの延納が適当、と考えます。何しろ、このコロナショックは、いつ終わるのか、全く見通せない、という点にあります。
緊急事態宣言の期間が5月7日以降も延長が現実味を帯びてきています。場合によっては、5月末どころか、6月中も続くかもしれません。そうした先行きの不透明さを考えれば、学費納入期間は9月までの延期が適当ではないでしょうか。
それと、これは各大学にご提案したいのが、学生のアルバイト採用です。
すでに、東海大学などは学生が学内の図書館受付などで働く代わりに奨学金を出す、勤労奨学金制度を設けています。
これをさらに拡大して、学生を大量にアルバイトとして採用してはどうでしょうか。
具体的には、オンライン授業のサポートを学生にアルバイトとしてやってもらうのです。オンライン授業の運営や、投影資料の作成を任せてもいいでしょう。
PC操作などに不慣れな高齢の教員からすれば、学生といえども、そうしたサポートが付くのは心強いはずです。
講義で使用する投影資料を作成することになれば、学生には一定の教育効果もあるはずです。
もちろん、そうしたスキルのある学生ばかりではありません。オンライン授業のサポートが無理、ということであれば、大学封鎖が解除された後に、学内の清掃などを手伝ってもらうようにすればいいのです。
先の話ですが、それを約束できる学生には、学費納入の大幅な延長、あるいは、給料の先渡しをする、というのはどうでしょうか。
コロナショックによって、日本全国が大変な状況にあります。
学生も大変ですし、大学教員も、大学職員も、学部主任も学長も理事長も、みな、大変な思いをしています。
誰か一者が利を得るのではなく、大学全体が救われる方策を大学関係者の皆さんには実行するようお願いしたい次第です。
追記(4月23日13時25分・加筆修正)
・芝浦工業大学の6万円支給について、加筆しました。
・「新型コロナウイルスよる早稲田大学・慶應義塾大学のキャンパス閉鎖とオンライン授業への移行を受けた、学費減額を求める署名活動」について、リンク切れだったため、修正しました。
→表示されにくいため、リンクを貼らないようにしました。
追記(4月23日19時・加筆修正)
・山梨英和大学が給付を決めたとのことで、加筆しました。
追記(4月24日・加筆修正)
・獨協大学が一律10万円の給付を決めたとのことで、加筆しました。
・学費減額を求める署名活動について、早慶の学生が初めて、と記載しましたが、青山学院大学の学生による署名活動は4月4日からの開始でした。そのため、該当部分について修正・加筆しました。
ご指摘いただいた「【青学署名】施設設備料免除」様にお詫びするとともに、ご指摘いただいたことに感謝申し上げます。