小学生が学校生活で抱えている悩みの実情をさぐる(2020年公開版)
小学生の年齢では一日のうち多くの時間を過ごすことになる学校生活。楽しいことばかりではなく、辛いこと、困ったこと、悩んでしまうことなどもあるだろう。小学生の学校生活の中での困りごとや悩みごとの実情について、学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは小学生において直近1年間の学校生活の中で、困ったこと・悩んでいることを複数回答で尋ねた結果。トップは忘れ物で全体では31.3%となった。具体的にどの程度の悩みかは不明だが、とにかく忘れ物で悩んでいることになる。
忘れ物に次いで多い困った・悩んでいることは宿題。宿題が多いからか、難しいからか、時間がかかるからか何かまでは不明。その次に友達が入っており、小学生でも対人関係に困る・悩むことがあるのは少なくない実情がうかがい知れる。
学校生活での話だから当然のように、成績や授業も入ってくる。給食や登下校のような、困った・悩んでいることに該当する理由が分かりにくいのもあるのは不思議。あるいは給食は遅くて食べ切れないとか、自分の嫌いなものが出てきた時に困るといった形だろうか。
また1.3%ではあるが、恋愛に関する困った・悩んでいることがある小学生がいるのは興味深い。
これを上位陣について属性別に見たのが次のグラフ。
忘れ物は女子よりも男子の方が多く、学年別では小学2年生が一番多いものの、傾向だった動きは見られない。宿題も男子の方が多く、学年別では小学3年がピークとなりあとは漸減。他方友達は男子よりも女子の方がはるかに多い。
成績は男女間の差はさほど無いものの、学年別ではおおよそ高学年ほど高い値になる。勉強が難しくなってくると自分の成績にも色々と問題が発生しやすくなるということか。他方授業では男女間の差異はあまりなく、学年別でもほぼ同じ値を示しているのは興味深い。
なお小学生本人だけでなく保護者も困ることが多いであろう忘れ物について、もう少し細かい属性分けで見たのが次のグラフ。
女子より男子の方が多いのは全体だけでなく各学年別で区分しても同様であることが分かる。しかも男子は小学5~6年生になると再び値が増える傾向すら見られる。女子は小学3年生から減少する動きを示しているので、学年毎の全体値が小学5~6年生で増加するのは、男子の増加によるものであることが分かる。
なぜ男子の方が忘れ物が多くなる傾向があるのか。今件の調査結果だけでは分からない。さらなる検証が求められよう。
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※小学生の日常生活・学習に関する調査
2019年8月27日から30日にかけてインターネット経由で、小学生の子供がいる保護者を対象として、保護者付き添いの下で小学生本人に答えてもらったもので、有効回答数は1200人。男女別・学年別で均等割り当て。調査協力会社はクロス・マーケティング。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。