若者が思う「これなら自動車買っても良い」年収水準は?
自動車の取得率が若年層の間で減少しているとしばしば語られるようになったが、その原因の筆頭に挙げられるのが、同世代における可処分所得の減少。見方を変えれば金銭的な充足があれば、若年層も自動車所有に積極さを見せることになる。それでは年収でどれ位の額を確保できれば、所有を考えるようになるのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2014年12月に発表した、20代の男女を対象にした調査結果「20代の金銭感覚についての意識調査」から、その実情を確認していく。
今や若年層にとっては高嶺の花的存在といえる自家用車だが、大抵はローンを組んで複数年で代金を支払わねばならず、相応の収入が前提となる。手取りも満足ではなく、将来にも不安を覚え、手が出しにくい。それでは年収(収入総額。税金や社会保険料込みの値)がいくら位になれば、それらを所有しても良いと考えるようになるのか。
例えば年収400万円に達した時点で取得しても良いと考える人は、年収500万円の条件でも当然取得したいと考える。そこで各年収の仕切り別回答率に加え、累積の回答率も併記することにした。例えば自動車で300万円の累積回答率は40.7%だが、これは「年収を問わず所有したい」の16.2%、「200万円」の5.8%、「300万円」の18.7%をすべて足した結果。
個々の区分回答率では300万円位ならとの回答率がもっとも高く18.7%。次いで400万円、500万円が続く。これらの層を合わせ、300万円から500万円で大よそ半数の回答率。もっとも「世帯年収500万円まで」の場合には、それ以下の条件でも所有したいとの累積回答率の考えが必要になるため、72.5%の値が導き出される。つまり、年収500万円が維持確保できれば、20代の7割は自家用車を所有しようと考える次第である。
それ以降の年収増加による回答率は減り、累積回答率の上昇度合いも緩やかなものとなる。年収条件の上限まで加算すると87.7%、つまり15%ポイントほどの増加にしかつながらない。若年層の自動車所有率を高めたいのなら、関連各方面は該当世代の年収を500万円から600万円程度に引き上げる方策が重要となる。
仕事柄、居住地域の状況から自家用車の所有が不可欠な人もいる。個々の環境によって所有動機は大きく変動するため、年収はあくまでも要素の一つでしかない。一方で金銭上の問題が大きな影響を与えることも事実。消費の活性化を若年層に望むなら、それを後押しすべく、その世代の年収の底上げ(瞬発的なものでは無く、継続的なもの。つまりそれを裏付けるための雇用の確保と景気の高揚)を推し量ってほしいものである。
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