2021年10月度外食産業売上は前年同月比でマイナス0.5%
日本フードサービス協会は2021年11月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2021年10月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス0.5%を示した。新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にあり、各種規制の解除も客足の回復に貢献し、総合売上はほぼ前年同月の水準にまで戻す形となった。
全業態すべてを合わせた2021年10月度売上状況は、前年同月比で99.5%となり、0.5%の減少を記録した。これは前回月から継続する形で3か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日が1日多く土曜日は変わらず、売上にはいくぶんのプラスの影響。気象環境では雨天日は東京は多く大阪は少なく、平均気温は東京と大阪ともに高めのため、客足への影響判断はプラスと解釈できる。
新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強いものの、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が2021年9月末で解除されており、10月下旬には首都圏1都3県や大阪府での時短営業要請の解除も行われ、客足が戻り始める状況となった。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で8か月連続のプラス(プラス5.4%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「テイクアウト・デリバリーが引き続き好調」とあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、売上はプラス11.8%とプラスに。なお2年前同月比、つまり新型コロナウイルス流行前となる2019年10月との比較では、プラス22.2%を示している。
なおマクドナルド単体の2021年10月における営業成績はプラス13.7%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はプラス5.4%、客単価はプラス7.6%と堅調な伸びを示している。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス1.0%、客単価はマイナス0.9%となり、売上はマイナス1.9%。麺類は客数マイナス4.9%、客単価はプラス0.4%となり、売上はマイナス4.5%。和風は「営業時間短縮や店舗数減少(がマイナス要因)」とある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス5.9%。「引き続き高いテイクアウト需要」とあり、巣ごもり需要が売上をけん引したようだ。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はマイナス22.8%、居酒屋の売上はマイナス35.1%。部門全体では売上はマイナス30.8%を示した。「酒類の提供制限により休業店舗が多かった前回月に比べ、10月の制限解除後は店舗が徐々に再開されたものの、再開ペースは店によって異なり、依然厳しい状況が続いている」と説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さのダメージが継続中であることがうかがえる。
新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。各種規制の解除、営業時間の短縮要請・夜の酒類提供時間の短縮や自粛要請はようやく解除されたものの、一度離れた客足が戻るのには、まだ時間がかかりそうではある。
次回月の2021年11月分では、新型コロナウイルスの新規感染者数は減少を続けており、規制なども解除が継続中であることから、今回月同様に復調の動きが見られるだろう。
上記は今記事のダイジェストニュース動画(筆者作成)。併せてご視聴いただければ幸いである。
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