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元NBA戦士ロバート・サクレが断言「Bリーグは世界トップリーグの1つになる」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
元NBA戦士として活躍を続けるサンロッカーズ渋谷のロバート・サクレ選手(写真:松尾/アフロスポーツ)

 今年1月12日にサンロッカーズ渋谷に加入したロバート・サクレ選手。Bリーグに参戦する外国人選手の中でNBAからそのまま移籍してきた初めての選手として注目を集めた。2017-18シーズンもチーム残留を決め、現在は東地区でアルバルク東京、千葉ジェッツと熾烈な首位争いを演じるチームのトップ・スコアラーとして活躍を続ける。

 12月24日の東京戦では21得点、10リバウンドの活躍をみせ、チームの逆転勝利に貢献。もちろん得点ランキングでリーグ5位に入る攻撃力が素晴らしいのは当然だが、試合後に勝久ジェフリーHCが東京のトランジション・オフェンスに対応したサクレ選手のディフェンス力と走力を高く評価しているように、213センチ、118キロという体格でありながらパワー、スピード、機動力を兼ね備えた“穴がない”選手だといえる。レイカーズに4シーズン在籍し、世界の頂点のコートに立ってきたバスケ選手としての質の高さをBリーグでも披露し続け、来年1月14日に行われるオールスター・ゲームにもリーグ推薦で初出場を決めている。

 Bリーグを主戦場にして約1年が経過したサクレ選手だが、Bリーグについてどのような印象を抱いているのだろうか。

 「リーグは確実に成長していると思う。海外からハイレベルな選手たちがリーグにやってきて、日本スタイルのバスケも日に日に良くなっているように思う。いつかは世界のトップリーグの1つになると思うし、そのリーグの一員になれていることが嬉しい。今後もリーグが発展していけるようにいろいろな面で貢献していきたい。

 すでにBリーグは、欧州リーグのトップチームや中国リーグのトップチームと契約できなかった選手にとって最善の選択肢になっている。多くの選手がBリーグの評判を聞いているし、今後もさらに多くのハイレベルな選手たちがBリーグに来るようになると思う。特にNBAを経験したビッグマンが集まってくるんじゃいないかな。そんな日が来るのが楽しみだね」

 サクレ選手が指摘するように、すでにNBA以外の海外リーグでのプレーを目指す外国人選手にとって、わずか2年目ながらBリーグがすでに魅力的な存在になっているようだ。これまでサクレ選手以外にも何人かの外国人選手に話を聞いてきたが、少なからずの選手たちがBリーグでプレーを続けることを望んでいる。このままBリーグの評判が世界中に広がっていけば、今後はサクレ選手のようにNBAから直接Bリーグに移籍してくる選手が増えてくることになるかもしれない。

 それではBリーグの現在のレベルについてサクレ選手はどう感じているのだろうか。

 「もちろんNBAと違いはある。ただプレー全体はかなり高いレベルにあると思う。特にスピードに関してはかなり素速いプレースタイルだし、日本の選手はダンクはできないけど、すべての選手がコート上を走り回れる。個人的にBリーグへの適応するにちょっと苦労したのが試合スケジュールかな。NBAでも連戦はあったけど、毎週連戦を戦わなければならないのが大変だね。

 チームにはすごく満足しているし、チームメイトと最高の時間を過ごせている。マネージメントを含め素晴らしい人たちが集まっているし、チーム一丸となって日々レベルを上げていけるようにお互いを高め合っている。最高のチームの一員になれたことが嬉しいよ」

 どうやらサクレ選手もすっかりBリーグでのプレーに満足しているようだ。今後も彼のような素質に恵まれたビッグマンがBリーグに参戦してくるようになればリーグのレベルをさらに引き上げるだけでなく、中には帰化選手として日本代表入りを希望する選手も登場するかもしれない。そうなれば日本バスケにとって永遠の課題である“世界レベル”のビッグマンを得られるようにもなるだろう。

 ところでサクレ選手は日本代表入りに興味はないのだろうか。

 「できればそうしたいけど、もう長いことカナダ代表でプレーしているからね。そうでなければ、ぜひ日本代表でプレーしたいよ(笑)」

 残念…。だがいつの日か必ず、日本代表を目指してくれるサクレ選手のようなNBA級のビッグマンが登場してくれることを期待せずにはいられない。Bリーグの誕生で日本バスケに向けた自分の夢が広がっていくばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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