元台風19号がベーリング海に到達 アラスカなどで大荒れ
とかく日本を去った台風の行方は、その後語られることが少ないものですが、気にして跡をたどってみると、太平洋を横断してアメリカ大陸に到達しているものが少なからず存在します。
今回日本に死者・行方不明者80人超という、甚大な被害をもたらした台風19号もまたその一つで、温帯低気圧となり、アラスカなどに大荒れの天気をもたらしています。
19号の経緯
台風19号は、12日夜、強い勢力で静岡県に上陸、その後神奈川、東京などを進み、13日正午に日本の東で温帯低気圧に変わりました。箱根では24時間に922.5ミリの雨が降り、8年ぶりに24時間の国内観測記録を更新したほどでした。
19号のその後の足取りを天気図からたどってみると、13日には北海道沖に進み、以後北東に進んで、15日時点ではシベリアとアラスカの間のベーリング海に到達しているのが分かります。中心気圧は952hPaで、台風として静岡に上陸したときの中心気圧955hPaよりも気圧が下がっているようです。
このため海上は大荒れで、ベーリング海の西部では29.5m/sの強風と、8.8mの高波が観測されています。
アラスカへの影響
この元台風19号は、今後どのような影響をもたらすのでしょうか。
アメリカ気象局の予想によると温帯低気圧となった元19号は、アリューシャン列島や、アラスカ州に属するプリビロス諸島などにハリケーン並みの強風を吹かせる見込みです。その後、ベーリング海で一回転をして、来週月曜(21日)にアラスカ州南部に到達する可能性があるようです。海上では45m/sを超える暴風が吹き荒れ、波の高さは15mにも達するおそれが出ています。
元台風の太平洋横断
この19号のように、もともとアジアに影響を与えた台風が、温帯低気圧となって太平洋を渡り、北米大陸に到達することがあります。
今年では、19号の他に、北朝鮮に史上最強の勢力で上陸した13号が太平洋を渡って、ロシア極東に大規模な洪水を発生させ、被害総額は3,000万ドルにも上りました。また2014年14号は、温帯低気圧となった後に海上で急速に発達しました。一時中心気圧920hPaまで下がって、ベーリング海における観測史上もっとも発達した低気圧として記録されています。