バイデン政権のミサイル迎撃システムのイスラエル派遣
バイデン大政権は、THAADと呼ばれるミサイル迎撃システムの操作要員と共にイスラエルに配備すると発表した。イスラエルを守るという強いメッセージを発する意図だろう。
しかし、民主党のハリス候補を助けたければ、イスラエルを抑えて戦火の拡大を抑えるべきなのに、アメリカが守ってあげるというメッセージを出せば、ネタニヤフ首相はイラン攻撃への動機を強めるだろう。
そしてイランの反撃がある場合には、この迎撃システムが目標とされる可能性が高いだろう。イランからのミサイルの迎撃に失敗すれば、超大国としてのアメリカの威信に傷がつく。またアメリカ軍の将兵が死傷するだろう。そうするとアメリカが、イランに報復せざるを得なくなる。アメリカ自身が戦争に巻き込まれてしまう。
また仮に首尾よくイランからのミサイルを撃墜したとしよう。その場合には、イランにばかりでなく、アメリカの潜在的な敵国である中国、ロシア、北朝鮮にも貴重なデータを提供して手の内をさらす結果となるだろう。
しかもアメリカの中東への肩入れを待っていたかのように、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。さらに北朝鮮は、韓国を威嚇している。
THAADの派遣は、賢明な政策には見えない。バイデン政権の中東政策には、首をかしげるような場面が多い。この1年間で首が曲がってしまいそうだ。いずれにしろ、世界が、やがて起こるであろうイスラエル上空でのハイテク兵器の激突に注目している。中東が最新の兵器の実験場となっている。
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