ドル円は20年前の黒田財務官当時の水準に
8日のロンドン外国為替市場で、1ドル=134円台まで円安・ドル高が進み、2002年2月以来、約20年4か月ぶりの円安水準となった(8日付読売新聞)。
2002年2月頃にいったい何があったのか。そのあたりについて自分で書いたもので探してみたが、当時の記録が少なく、大きなイベントがあまりなかったように思う。
ただし、これが多少なりとも影響していたのかもしれないものがあった。格付け会社による日本国債の格下げである。
1998年11月にムーディーズが日本国債をAaaからAa1に引き下げた。その後、2000年9月にAa1からAa2に引き下げ、2001年12月にAa2からAa3に引き下げた。
そして、2002年の4月にS&Pが日本国債をAAからAA-に引き下げ、5月にムーディーズがAa3からA2に引き下げた。
2002年4月に日本の財務省は欧米の格付け会社三社に対して、日本国債の格付けに関する意見書を送付していた。
大手格付け会社による格下げによって、日本国債が大きく売られるようなことはなかった。しかし、日本国債の格下げそのものが円売りの材料となっていた可能性はある。
そういえば、2002年2月、ニューヨークで開催されていたダボス会議で黒田財務官(当時)が「円安リスクはない」と発言し円が1円近く反発した場面があった。
このときの黒田財務官とは、現在の黒田日銀総裁である。つまり、黒田日銀総裁が財務官当時のドル円の水準に戻ってきたともいえる。