シニア層は何をされると一番腹が立つのか
歳をとったと自覚し始める微妙な年頃になり、さらには自他共に認める歳に達すると、世間一般から必要以上に年寄り扱いされることへの反発を覚える場面も生じてくる。どのような対応をされると、シニア・シニア予備軍は腹立たしさを覚えるのだろうか。ソニー生命保険が2014年9月に発表した「シニアの生活意識調査2014」(50歳から79歳の男女を対象)から確認をしていくことにする。
次に示すのは調査対象母集団に「このような対応をされると、たとえ相手に悪気が無くても、いい気がしないこと」となりうる選択肢を挙げ、同意をするか否かを複数回答で答えてもらったもの。4割強は「特に無し」と回答したが、具体的事案でもっとも多くの人が同意を示したのは「家族以外から『おじいちゃん・おばあちゃん』と呼ばれる」だった。2割強の人が答えている。またほぼ同率で「『高齢者』と自分達を年齢でひとくくりにされる」も上位についている。
上位陣の回答群を見るに、第三者から「高齢者」として扱われることを毛嫌いするようすがうかがえる。自分自身では薄々、あるいは明確に事実としての老化を認識しているが、それを改めて他人から指摘されることに抵抗を覚える、一言で表現すれば「言われなくても分かっている」というあたりか。あるいはそのことを気にしていたがゆえに、改めて指摘され(無論相手側にはその意図はない)、それがシャクにさわったのかもしれない。もっとも同じような切り口での批評が、若年層に対してしばしば成されているところを見るに(「近頃の若いものは」「若者の●×離れ」など)、色々と複雑な想いが去来する。
単なる呼び方だけでなく、対応も不快感のトリガーとなる。「会話の際に小さい子供と話すかのように話される」「『シニア向け』『高齢者向け』と書かれた商品・サービスを勧められる」が15%近くでほぼ同率。多分に相手側の親切心が空振りするどころか逆作用を生み出すもので、ある意味、悲劇ともいえる。この点では次に来る「必要のない介護グッズや便利グッズをプレゼントされる」も該当しよう。
意外に思う人も多いであろう動きが「電車やバスで座席を譲られる」。7.9%ではあるが、決して低い値では無い。ほぼ親切心からの行為が逆手に取られてしまうと、行為を成した側もがっくりしてしまうものだが。
「特になし」の回答が4割強あるのはまだ救われるが、今件設問で用意された選択肢の多くは、相手の善意から発せられたもの。バランス感覚の難しさを再確認させられる話ではある。
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