世界の人口は2060年に100億人を突破…国連予想による米英露の人口推移をさぐる(2019年公開版)
国連では定期的に世界人口の推移予想の検証結果を更新している。その最新データ「World Population Prospects 2019(世界人口の見通し、2019年改訂版)」(国連事務局経済社会局の人口部局による、人口統計学的な推計によるデータ)から、2100年までの世界全体と、米英露の人口推移を確認する。
まず最初はアメリカ合衆国。
2100年に至るまで、人口は緩やかに、そしてほぼ一定率のまま上昇を継続。高齢化は2035年前後まではやや歩みは速いが、それ以降は緩やかなスピードに落ち着いたまま進行していく。2100年時点での人口は約4.3億人。ただしアメリカ合衆国でもこの数年の間、急速な合計特殊出産率の低下(いわゆる「先進諸国病」)が確認でき、人口減少・高齢化の加速懸念が出てきた。
もっとも2年前の予想版(2015年版)と比べると2100年時点の人口予想は1360万人ほど減っているが、同年の高齢層比率は0.1%ポイントほど減少している。
続いてイギリス。
イギリスも人口は漸増。ただし少しずつその勢いは緩やかなものとなっていく。今データ内(2100年まで)では人口減少は確認できない。高齢化はじわじわと進行していき、64歳以下の総人口がほぼ変わらず、65歳以上の人口が漸増し、総人口の増加につながる雰囲気を見せている。比率で見ると14歳以下・15~64歳の比率が減り、65歳以上が少しずつ増えていく。
次はロシア連邦。
ロシア連邦は日本同様に人口減少のプロセスを歩んでいるが、2080年ぐらいにはその減少スピードもゆるやかなものとなる。日本に近い動きといえる。また高齢者の比率は2055年の24.7%をピークとして以後はむしろ一時的だが減少する動きすら見せ、その後再び増加、最大値は2095~2100年の25.2%となる動きは興味深い。
最後に世界全体の動向。
ロシア連邦や日本など一部先進諸国のように、人口を減らしていく国もあるが、概して新興国は人口増加の過程にあり、2060年ぐらいまでは急激なスピードで世界人口は増加していく。2065~2070年あたりから64歳以下の人口増加が足踏み状態となるため、それ以降は高齢層の増加分だけ総人口が増える形となる(このスタイルはイギリスに似ている)。
そして2060年には世界の総人口は100億人を突破する、との推定が出ている。2年前に発表された2017年版では2055年に100億人突破の予想値が出ていたことから、5年分後ろにずれ込んだことになる。主に先進国の人口の増加ぶりが大人しくなった・減少ぶりが加速したのが要因である。
今件データはあくまでも予想・推定の域を出ていない。人口変動要素に変化があれば、予想年数が先に行くほど数字はぶれていく。あくまでも指針の一つ程度として見ておいた方が無難である。
見方を変えれば、特段変化が無ければ、これらの値が現実のものとなる可能性は高い。各国の今後を占う上で、無視できない数字といえよう。
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