日銀の政策修正に紐付けされた今年の春闘の行方に注目か
金融市場ではこれまでさほど注目されていなかった「春闘」の行方が今年は注目されている。日銀が金融政策の正常化に向きを変える条件が、いつの間にか「春闘」に紐付けされた格好となったためである。
ことしの春闘は、13日が経営側からの集中回答日となるが、大手企業の間では、13日を待たずに去年以上の高い賃上げ水準で早期に決着する動きが相次いでいるとNHKが報じた。
これによるとホンダが1989年以降で最大となる月額2万円の賃上げで満額回答し、マツダは初回の労使交渉で、2003年以降で最大の月額1万6000円の賃上げで満額回答。牛丼チェーンを運営するゼンショーホールディングスが過去最高となる12.2%の賃上げで妥結し、モスフードサービスは初めてのベースアップを含めた平均で8%程度の賃上げを決めた。全日空と日本航空がいずれも33年ぶりとなる高い水準のベースアップを行うと回答(13日付NHK)。
これから労使交渉が本格化する中小企業などにも、高い水準の賃上げの動きが広がるかどうかが焦点となる。ただし、13日の経営側からの集中回答を受けて、30年ぶりの高い水準となった去年を上回るという見通しが強まれば、日銀は18、19日の金融政策決定会合で正常化に向けて金融政策の修正を行うことが予想される。
日銀は賃上げを政策目標に掲げているわけではない。消費者物価指数(除く生鮮)の前年比2%が目標ながら、それはすでに2022年4月以降、数値上達成されている。
それにもかかわらず正常化に踏み出さなかったのは、物価高に賃上げが追いつかなかったからという理由を示していた。物価高に見合った賃上げが達成となれば、さすがにここから新たなハードルを設けるには無理があろう。