欅坂46、炎上!ナチス制服酷似のハロウィン衣装―各国メディアも報道、ドイツでは処罰対象
人気アイドルグループ『欅坂46』(けやきざかフォーティーシックス)のメンバーらが、ハロウィンの仮装として着た衣装が「ナチスの制服に酷似している」と日本のネットユーザーの間で物議を醸し、複数の海外メディアでも報じられている。歴史的な悲劇に対する無神経さを世界に晒してしまったかたちだ。
◯国内の炎上のみならず、海外メディアも報道
問題の衣装は、今月22日に横浜アリーナで行われたライブイベント『PERFECT HALLOWEEN 2016』で使われたもの。翼を広げた鷲の紋章が取り付けられた帽子はナチスの軍帽、黒いマントはSS(ナチス親衛隊)が羽織っていたそれを連想させる。さらに、ワンピースのデザインやボタンの配置までが、ナチス将校の外套を思わせるものに。ナチスの最も特徴的なシンボルである鉤十字こそ身につけていなかったとは言え、欅坂46の「ハロウィン衣装」は、ナチスの制服に酷似している。ツイッターなどでも「これはアウト」「無知にも程がある」など、批判的なコメントが相次いだ。さらに、海外メディアもこの騒動に着目。英タブロイド紙『デイリー・メール』や『デイリー・ミラー』、スウェーデンのニュースサイト『Nyheter24』、カナダを中心にフランス語圏で見られているエンタメ系テレビチャンネル『TVQC』などが、日本のネット上での「(欅坂46のプロデューサーの)秋元康ってネトウヨ?(中略)安倍政権がナチス崇拝だから問題ないのかな?」等の批判を取り上げるかたちで報じている。また『PERFECT HALLOWEEN 2016』の様子を報じた日本の情報番組の動画も紹介され、「魔女のような格好」とはぐらかしていたところまで取り上げられていた。
◯ドイツでは冗談ではすまされない
ナチスを模した格好でのパフォーマンスは、日本では「不謹慎」くらいで済まされるかもしれないが、ドイツでは処罰の対象にもなり得る。ドイツの刑法第86条では、ナチスなどドイツの憲法に違反する組織を賞賛するような表現活動は禁じられ、違反の場合、3年の懲役刑が課せられる場合もあるのだ。無論、日本で行ったパフォーマンスに、ドイツの刑法が課せられることはないだろうが、ドイツの人々にとって、またナチスの被害にあった人々にとって、文字通り「シャレ」では済まないことなのである。比喩として適当かは定かではないが、例えば、地下鉄サリン事件などを引き起こした、オウム真理教の信者達そっくりのコスプレをして海外の人気アーティストが歌ったり踊ったりするのを見て、日本人はどう思うだろうか。
◯女性達に強制売春を強いたSSそっくりのマントを羽織った欅坂46
欅坂46のナチス制服に酷似した衣装へのツイッターでの反応に、「着る方にも、着せる方にも問題が・・・」というものがあったが、まさしくその通りだろう。ナチスは、ユダヤ人をはじめ、障がい者や戦争捕虜、ロマ(ジプシー)やスラブ人なども含む広義のホロコーストで約1100万人を虐殺したとされている。何も考えないでコスプレするには、あまりにも重大な歴史的事実が厳然としてある。また、1990年代になってその実態が発覚したことでは、ナチスによる強制売春という問題もある。『ナチズムと強制売春』(クリスタ・パウル著/明石書店)に詳しいが、ナチス支配下のドイツでは、本職のセックスワーカーだけではなく、外国人と結婚した女性達や、「政治犯」などが強制収容所に送られ、強制的な売春を強いられた。妊娠したり、性病にかかったりして「用済み」となった女性達は「処分」(つまり処刑)されたというから、ぞっとする。これらの強制売春を提案したのは、SS全国指導者のハインリヒ・ヒムラーだが、そのSS を模した(ように見える)マントを日本の人気女性アイドルグループのメンバーらが纏っていたのだから、何とも気持ちの悪いことだ。おそらく、欅坂46のメンバー達は、その様な負の歴史を詳しくは知らなかったのだろうが、それにしてもナチスの概要くらいは学校で勉強したはず。あまりに無知だとは言わざるを得ない。
◯秋元康氏が東京五輪の大会組織委員会理事で大丈夫?
ただ、やはり一番責任を問われる立場にあるのは、コスプレした欅坂46のメンバーよりも、彼女らを演出、プロデュースする大人達であろう。まだ10代のメンバーもいるなど、人生経験の浅い欅坂46メンバーらと異なり、何が大丈夫で何が問題なのか、判断がつくはずである。しかし、実際にはあまりに配慮が足らず、海外メディアにも日本の恥をさらすことになってしまった。問題は、欅坂46にとどまらない。今回の一見を見ていて心配になるのは、2020年の東京オリンピックだ。欅坂46をプロデュースする秋元康氏は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事の一人である。世界中のメディアの注目を集める中で、また国際的に大問題となるような、演出やパフォーマンスをしてしまったら、それこそ目もあてられないのだ。ナチスを本気で賞賛するつもりではなかったのだろうが(そう願いたい)、今回の一件、関係者諸氏は猛省するべきだろう。
(了)