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【アメリカで愛され続けるスーパー戦隊シリーズの魅力とは?】国を超えた日本の恐竜戦隊の強さとは何か?

二重作昌満博士(文学)/PhD(literature)

みなさま、こんにちは!

文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。

9月に入っても暑い日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

さて、今回のテーマは「恐竜」です。

突然ですが、みなさまは「恐竜」はお好きですか?

米国ワシントンD.Cにある「スミソニアン国立自然史博物館」。当博物館では数多くの恐竜の化石が展示されており、スミソニアン博物館群は映画『ナイトミュージアム2(2009)』等の撮影地(舞台)でもある。
米国ワシントンD.Cにある「スミソニアン国立自然史博物館」。当博物館では数多くの恐竜の化石が展示されており、スミソニアン博物館群は映画『ナイトミュージアム2(2009)』等の撮影地(舞台)でもある。

恐竜とは、中世代の三畳紀に出現して白亜紀まで生息した、絶滅した陸生は虫類の一群と定義されています(広辞苑)。しかしながら「絶滅した」とされつつも、鳥類が肉食恐竜の子孫と考えられ、「絶滅した」という見解が果たして適切かどうかは、現在も議論が分かれているようです。

数ある恐竜の中で「角竜」の代表格であるトリケラトプス。白亜紀後期の北アメリカに生息しており、体長は7~9mの植物食性とされる。その骨格も「スミソニアン国立自然史博物館」にて見学することができた。
数ある恐竜の中で「角竜」の代表格であるトリケラトプス。白亜紀後期の北アメリカに生息しており、体長は7~9mの植物食性とされる。その骨格も「スミソニアン国立自然史博物館」にて見学することができた。

私達が生きている21世紀ー。残念ながら巨大な恐竜の姿を見ることは叶いませんが、国内外の博物館では化石の展示を通じて恐竜の生態系を学べたり、テーマパークでもロボット技術(アニマトロニクス)を通じて、かつての恐竜の姿が再現されています。(※余談ですが、私は子どもの時から東京ディズニーランドの1アトラクション「ウエスタンリバー鉄道」が大好きで、その理由がアトラクションの終盤にたくさん恐竜が出てくる上、恐竜同士の対決も堪能できることでした。)

米国ハワイ州オアフ島内「クアロア・ランチ」では、牧場内で撮影された数多くの映画ロケ地を周遊する「映画村ツアー」が開催されており、ツアーの最中には映画「ジュラシック・ワールド」の恐竜達にも遭遇できる。
米国ハワイ州オアフ島内「クアロア・ランチ」では、牧場内で撮影された数多くの映画ロケ地を周遊する「映画村ツアー」が開催されており、ツアーの最中には映画「ジュラシック・ワールド」の恐竜達にも遭遇できる。

米国フロリダ州ウォルトディズニーワールド内、「ダウンタウンディズニー」にあるティラノサウルスの名を冠した飲食施設「T-REX Restaurant」。当店では恐竜をイメージしたフードメニューが楽しめる
米国フロリダ州ウォルトディズニーワールド内、「ダウンタウンディズニー」にあるティラノサウルスの名を冠した飲食施設「T-REX Restaurant」。当店では恐竜をイメージしたフードメニューが楽しめる

前振りはここまでにして、この「恐竜」ー。日本が世界に誇る特撮ヒーロー番組においても何度も用いられてきた、動物や乗り物と並ぶ普遍的な人気モチーフのひとつでもありました。

その中でも、何度も「恐竜」をヒーローのモチーフとして採用してきたのは、半世紀に渡る歴史を誇り、日本だけでなく世界中から熱狂的な支持を集めている東映制作の特撮ヒーロー番組「スーパー戦隊シリーズ」でした。

長い歴史を誇る当シリーズですが、現在まで4度に渡り「恐竜」を題材とした作品が制作されています。その中でも今回焦点を当てるのは、シリーズ初の恐竜スーパー戦隊であった『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』。

本作は第1作『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』から数えて、シリーズ第16作。

数あるスーパー戦隊シリーズの中でも極めて高い人気を誇り、日本だけでなく米国でも熱狂的なファンを生みだし続けてきた、夢とファンタジーに溢れた名作。

放送終了から30年以上経った今も、「時をかける希望」のごとく、彼らの勇姿は世界中で輝き続けています。

『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』は国内での放送終了後、『パワーレンジャー』と題して米国で放映され爆発的なヒットを記録。2024年現在も玩具が販売されており、現地のスーパー等で気軽に購入できる。
『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』は国内での放送終了後、『パワーレンジャー』と題して米国で放映され爆発的なヒットを記録。2024年現在も玩具が販売されており、現地のスーパー等で気軽に購入できる。

今回はそんな日本から世界へと駆け抜けた『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』について、その活躍を辿ってみたいと思います。

※本記事は「私、アニメや特撮にくわしくないわ」という方にもご覧頂けますよう、可能な限り概要的にお話をしておりますので、ゆっくり肩の力を抜いて、気軽にお楽しみ頂けますと幸いです。

【1億7000万年前の恐竜時代から大復活!】恐竜戦隊ジュウレンジャーってどんなスーパー戦隊?

さて、本記事では『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』に焦点を当てていきますが、その前に少しだけ、スーパー戦隊シリーズについてご紹介をさせてください。

「5人揃って、ゴレンジャー!」スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』(筆者撮影)
「5人揃って、ゴレンジャー!」スーパー戦隊シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー(1975)』(筆者撮影)

シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』が1975年に放送が開始されて以降、『太陽戦隊サンバルカン(1981)』、『忍者戦隊カクレンジャー(1994)』、『海賊戦隊ゴーカイジャー(2011)』、『魔進戦隊キラメイジャー(2020)』、『王様戦隊キングオージャー(2023)』、そして最新作『爆上戦隊ブンブンジャー(2024)』まで全48作品がこれまで放送されてきました。

スーパー戦隊シリーズ第48作かつ最新作『爆上戦隊ブンブンジャー(2024)』。〈クルマ〉×〈つくる〉をテーマに、6人の若者達が変身するブンブンジャーが、大宇宙侵略大走力団「ハシリヤン」と戦う物語。
スーパー戦隊シリーズ第48作かつ最新作『爆上戦隊ブンブンジャー(2024)』。〈クルマ〉×〈つくる〉をテーマに、6人の若者達が変身するブンブンジャーが、大宇宙侵略大走力団「ハシリヤン」と戦う物語。

そんな長きスーパー戦隊シリーズの歴史の中で、シリーズ初の「恐竜」戦隊であったのが第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』でした。

『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(左)は1992年2月21日から1993年2月12日まで全50話が放送された。日本での放送終了後、1993年に『パワーレンジャー』(右)と題して米国へと進出した。
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(左)は1992年2月21日から1993年2月12日まで全50話が放送された。日本での放送終了後、1993年に『パワーレンジャー』(右)と題して米国へと進出した。

本作が放送されたのは、映画監督・スティーブン・スピルバーグによる『ジュラシック・パーク』の映画化発表に湧き上がった1992年。1億7000万年の眠りから目覚めた5人の勇者達が『恐竜戦隊ジュウレンジャー』を名乗り、地球を死の星に変えようとする魔女バンドーラ率いる「バンドーラ一味」から地球を守る物語。

宇宙の悪魔・大サタンに魔力を与えられた魔女バンドーラ(中央)が率いる「バンドーラ一味」。人類により封印が解かれ、地球に攻撃を開始する。米国でも写真のような可愛らしい玩具も発売された人気者達である。
宇宙の悪魔・大サタンに魔力を与えられた魔女バンドーラ(中央)が率いる「バンドーラ一味」。人類により封印が解かれ、地球に攻撃を開始する。米国でも写真のような可愛らしい玩具も発売された人気者達である。

5人の戦士達が力を合わせて戦うシリーズの根幹的な描写は勿論、悪役でもどこかアットホームで憎めないバンドーラ一族、神のごとく威風堂々とした恐竜型のロボットに加え、シリーズ初の試みである6人目の戦士(ドラゴンレンジャー)も登場する等、豪華絢爛かつRPG(ロールプレイングゲーム)を彷彿とさせるような物語が展開されました。

6人目の戦士・ドラゴンレンジャー(左)。ティラノレンジャーの実の兄であるが、当初はとある理由からティラノレンジャーに激しい憎悪の炎を燃やしていた。やがて和解し絆を取り戻すも、死を迎える(筆者撮影)。
6人目の戦士・ドラゴンレンジャー(左)。ティラノレンジャーの実の兄であるが、当初はとある理由からティラノレンジャーに激しい憎悪の炎を燃やしていた。やがて和解し絆を取り戻すも、死を迎える(筆者撮影)。

上記の魅力的な要素に加え、本作は人間ドラマも魅力。哀しき兄弟対決の宿命から和解、そして兄の死を描いたティラノレンジャー(赤)とドラゴンレンジャー(緑)の固い兄弟愛。さらにはジュウレンジャーの敵である魔女、バンドーラがなぜ悪魔に魂を売ってしまったのか、溺愛する息子を失った彼女の過去も描かれました。

『ジュウレンジャー』の世界における神のような存在であるのが、恐竜の姿をした守護獣達である。彼ら5体が合体して巨大な人型の姿になったのが写真の「大獣神」。さらに7体合体で本来の姿である「究極大獣神」に。
『ジュウレンジャー』の世界における神のような存在であるのが、恐竜の姿をした守護獣達である。彼ら5体が合体して巨大な人型の姿になったのが写真の「大獣神」。さらに7体合体で本来の姿である「究極大獣神」に。

私も『恐竜戦隊ジュウレンジャー』を子どもの頃に観ていましたが、子ども時代はジュウレンジャーの大活躍や格好良いロボットに惚れ惚れし、大人になって観返してみると、悪役だけれども憎めない、アットホーム的な温かさも感じるバンドーラ一味の魅力に心惹かれたものです(なんとこのバンドーラ一味、党首であるバンドーラや主要幹部も誰ひとり戦死することなく、最後は壺の中へ封印され宇宙を彷徨います。ところが彼女らは壺の中で楽しく過ごしており、夫婦である幹部ふたりの間に一児も誕生し、子ども嫌いだったバンドーラも寛容な心で赤子を抱き上げる等、家庭的な幸せに包まれるバンドーラ達の姿が描かれながら、物語は幕を閉じます。)

バンドーラ一味の中で夫婦関係にあるのが、グリフォーザー(左)とその妻・ラミィ(右)である。両者共に幹部であり、戦闘能力も極めて高い。戦いに敗れ、バンドーラと共に壺の中で封印された両者は一児を授かる。
バンドーラ一味の中で夫婦関係にあるのが、グリフォーザー(左)とその妻・ラミィ(右)である。両者共に幹部であり、戦闘能力も極めて高い。戦いに敗れ、バンドーラと共に壺の中で封印された両者は一児を授かる。

また『ジュウレンジャー』のヒットにより「恐竜」はスーパー戦隊シリーズを象徴する人気モチーフとして定着し、最高視聴率13.2%を記録。その後も『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』や『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)』、さらに『騎士竜戦隊リュウソウジャー(2019)』と恐竜モチーフのスーパー戦隊が続々と産出されるようになり、現在まで「恐竜スーパー戦隊」という呼称が登場するほど、恐竜という要素は子ども達に愛される人気ジャンルとして、スーパー戦隊シリーズに定着するようになりました。

スーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』では、荒ぶるダイノガッツを宿した5人のアバレンジャーと邪命神デズモゾーリャ率いる悪の組織「エヴォリアン」との戦いが描かれた。
スーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』では、荒ぶるダイノガッツを宿した5人のアバレンジャーと邪命神デズモゾーリャ率いる悪の組織「エヴォリアン」との戦いが描かれた。

スーパー戦隊シリーズ第37作『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)』は、獣電竜に選ばれた勇者達が「キョウリュウジャー」を結成し、喜怒哀楽の人間の感情を集め首領の復活を企むデーボス軍との戦いが描かれた
スーパー戦隊シリーズ第37作『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)』は、獣電竜に選ばれた勇者達が「キョウリュウジャー」を結成し、喜怒哀楽の人間の感情を集め首領の復活を企むデーボス軍との戦いが描かれた

スーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー(2019)』は、正義に仕える7人の騎士達「リュウソウジャー」と、地球の覇権を狙う戦闘民族ドルイドンとの激しい戦いが描かれた(筆者撮影)。
スーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー(2019)』は、正義に仕える7人の騎士達「リュウソウジャー」と、地球の覇権を狙う戦闘民族ドルイドンとの激しい戦いが描かれた(筆者撮影)。

この「恐竜スーパー戦隊」ですが、『ジュウレンジャー』の鈴木武幸プロデューサーは恐竜の良さについて、まず巨大であることから、大きいものが好きな子ども達の好みに適合すること、そして恐竜はもともと太古のものであることから、古くならない要素であること、さらにかつて世界中に生息していたためみんなが知っている、これら3要素を兼ね備えているのは恐竜だけであることを述べており、こうした「恐竜」そのものが秘めていた固有の特徴こそ、時代を超えて子ども達に愛される魅力的な要素なのかもしれません。

【全米が緊急事態だった?!】クリントン大統領夫妻をも巻き込んだ恐るべきアメリカ版「恐竜スーパー戦隊」の底力とは?

ここまで『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』の物語を中心に、「恐竜スーパー戦隊」の魅力について語って参りました。しかしこの「恐竜スーパー戦隊」の人気は日本だけに留まらず、米国をはじめとする海外にも及んでいたことはご存知でしょうか?アメリカや韓国をはじめ、スーパー戦隊シリーズは『パワーレンジャー(Power Rangers)』と題して世界100カ国以上で放送されており、各国で爆発的なヒットと社会現象を巻き起こしていたのです。

スーパー戦隊シリーズ第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』をベースに米国で放送されたパワーレンジャーシリーズ第1作『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー(1993)』(写真は本作のDVD)
スーパー戦隊シリーズ第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』をベースに米国で放送されたパワーレンジャーシリーズ第1作『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー(1993)』(写真は本作のDVD)

パワーレンジャーがアメリカで放送を開始したのは1993年のこと。番組のタイトルは『Mighty Morphin Power Rangers(マイティ・モーフィン・パワーレンジャー)』と題して、ロサンゼルスやニューヨークの大都市圏で月曜日から金曜日にかけて午後3時からレギュラー番組として放送されました。

番組内容は、先述した『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』をベースに、日本人の俳優さん達の出演シーンを現地俳優さん達の出演シーンに差し替え、着ぐるみやミニチュアを使った戦闘シーンは日本で撮影した映像を流用する形で、約30分の番組として編成したものでした。

1995年公開の映画『パワーレンジャー』の撮影で使用された着ぐるみは、なんと2014年に米国フロリダ州ウォルトディズニーワールド内の1テーマパーク「ディズニー・ハリウッド・スタジオ」にて展示された。
1995年公開の映画『パワーレンジャー』の撮影で使用された着ぐるみは、なんと2014年に米国フロリダ州ウォルトディズニーワールド内の1テーマパーク「ディズニー・ハリウッド・スタジオ」にて展示された。

当内容で放送された本作は、アメリカで爆発的なヒットを巻き起こします。ロサンゼルス地区のテレビ局では最高9.1%の視聴率をたたき出した上、あまりの人気にクリントン大統領夫妻は本作の出演俳優をホワイトハウスへ招待したほどでした。

1993年の米国での『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』放送開始と共に、関連玩具も多数現地にて発売された。写真のフィギュアは、ベルトのバックルを押すと素顔からマスク着用時へ変身するギミックを搭載
1993年の米国での『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』放送開始と共に、関連玩具も多数現地にて発売された。写真のフィギュアは、ベルトのバックルを押すと素顔からマスク着用時へ変身するギミックを搭載

また関連商品の販売においても、本作の玩具を求めてショッピングモールに親達が殺到する現象が見られたほか、品薄となった玩具の取り合いで客同士の喧嘩が起こり、警察が出動する騒動にまで発展したそうです。この玩具騒動は全米を巻き込む緊急事態となり、『恐竜戦隊ジュウレンジャー(1992)』を産出した日本側に、アメリカから「ジュウレンジャーのおもちゃが残っていないか?」と電話がいくつも来たものの、日本では既に当番組の放送は終了していたために対応できなかったというエピソードが残されています(このパワーレンジャーの玩具が品切れした騒動を基に、1996年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「ジングル・オール・ザ・ウェイ(Jingle All the Way)」が製作されました)。

「ジングル・オール・ザ・ウェイ(Jingle All the Way)」Blu-ray。(発売・20世紀フォックス ホームエンターテインメント ジャパン、筆者撮影)
「ジングル・オール・ザ・ウェイ(Jingle All the Way)」Blu-ray。(発売・20世紀フォックス ホームエンターテインメント ジャパン、筆者撮影)

本作の玩具を販売していたのが、日本の玩具大手メーカーであるバンダイ。同社のアメリカ子会社は、1994年の1年間でフィギュアを1800万体で10億ドル売り上げたほか、このパワーレンジャーブームにより同年のアメリカ玩具市場は164億ドルの過去最高を記録しました。このように、アメリカで爆発的なヒットを飛ばした「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」は「アメリカの歴史上、もっとも成功した子ども番組」と評されるまでに至りました。

米国で発売されたパワーレンジャーシリーズの玩具は、数ある米国子ども向け番組の中でも極めて高い人気を誇り、今やクリスマスギフトの定番。写真はトイザらス限定『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013』玩具。
米国で発売されたパワーレンジャーシリーズの玩具は、数ある米国子ども向け番組の中でも極めて高い人気を誇り、今やクリスマスギフトの定番。写真はトイザらス限定『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013』玩具。

パワーレンジャーシリーズの人気は現在まで続いており、先述した『爆竜戦隊アバレンジャー(2003)』、『獣電戦隊キョウリュウジャー(2013)』といった他の「恐竜スーパー戦隊」もパワーレンジャーシリーズとして米国へ輸出されたほか、現在も『騎士竜戦隊リュウソウジャー(2019)』を米国市場向けに展開した最新作『パワーレンジャー・コズミックフューリー(Power Rangers Cosmic Fury)』がNET FLIXにて発信されています。

パワーレンジャーシリーズ最新作『パワーレンジャー・コズミックフューリー』 (Power Rangers Cosmic Fury』。2024年現在も、写真のような変身アイテムの玩具が発売されている。
パワーレンジャーシリーズ最新作『パワーレンジャー・コズミックフューリー』 (Power Rangers Cosmic Fury』。2024年現在も、写真のような変身アイテムの玩具が発売されている。

さらに、シリーズ第1作『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』の放送30周年を迎えた2023年には映画『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー:ワンス&オールウェイズ(Mighty Morphin Power Rangers: Once & Always)』が発表されました。

パワーレンジャー関連商品は現在、米国の大手玩具メーカーである「Hasbro」から多数の商品が発売され、米国内のおもちゃ屋さんで購入できる。ジュウレンジャーの人形は30年経った今もお店で軒を連ねている。
パワーレンジャー関連商品は現在、米国の大手玩具メーカーである「Hasbro」から多数の商品が発売され、米国内のおもちゃ屋さんで購入できる。ジュウレンジャーの人形は30年経った今もお店で軒を連ねている。

時は流れて2024年ー。ハワイに里帰りしながら、生活雑貨や食料品の買い出しで訪れたスーパーやおもちゃ屋さんで私が目にしたのは、現在も玩具やコミック等、様々な形に姿を変えながら現地の子ども達、そしてかつて子どもだった大人達の傍に寄り添い、笑顔を守り続けている『ジュウレンジャー』をはじめとする恐竜スーパー戦隊(パワーレンジャー)の姿でした。

2024年現在、『パワーレンジャー』商品展開は子ども達だけでなく、大人世代に向けても行なわれている。写真のドラゴンシーザーをはじめ、米国の「トイザらス」でもジュウレンジャー商品は現役である。
2024年現在、『パワーレンジャー』商品展開は子ども達だけでなく、大人世代に向けても行なわれている。写真のドラゴンシーザーをはじめ、米国の「トイザらス」でもジュウレンジャー商品は現役である。

日本での放送から30年以上経過した今でも、ジュウレンジャーをはじめとする恐竜スーパー戦隊シリーズ(パワーレンジャー)の勇姿は国境を超えて健在であり、きっとまた新たな世代へと受け継がれていくことでしょうー。

最後までご覧頂き、誠にありがとうございました。

(恐竜戦隊ジュウレンジャー、パワーレンジャーシリーズを視聴するなら)
東映特撮ファンクラブ(TTFC)(外部リンク)

(参考文献 一覧)
・菅家洋也、「講談社シリーズMOOK スーパー戦隊シリーズMOOK スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 1992 恐竜戦隊ジュウレンジャー」、株式会社講談社
・鈴木武幸、「夢(スーパーヒーロー)を追い続ける男」、株式会社講談社
・大下英治、「仮面ライダーから牙狼へ 渡邊亮徳・日本のキャラクタービジネスを築き上げた男」、株式会社竹書房
・長澤博文・今井智司(ノトーリアス)、「スーパー戦隊の常識 ド派手に行くぜ!レジェンド戦隊篇」、双葉社
・尾上克郎・三池敏夫、「平成25年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業 日本特撮の関する調査」、森ビル株式会社

(本記事でご紹介した米国各州 観光地アクセス)
・National Museum of Natural History
住所:10th Street And Constitution Ave, Washington, DC 20560
公式サイト:https://naturalhistory.si.edu/(外部リンク)
・Kualoa Ranch Hawaii
・住所:49-560 Kamehameha Hwy. Kaneohe, HI 96744
・公式サイト:https://www.kualoa.jp/(外部リンク)
T-REX Restaurant(Walt Disney World)
・住所:1676 E Buena Vista Dr, Lake Buena Vista, FL 32830
・公式サイト:https://disneyworld.disney.go.com/dining/disney-springs/t-rex/?msockid=223e5f6f33476de610f04b08323f6c16(外部リンク)
・Disney's Hollywood Studios (Walt Disney World Resort)
住所:351 S. Studio Drive, Lake Buena Vista, FL 32830
・公式サイト:https://disneyworld.disney.go.com/destinations/hollywood-studios/?msockid=223e5f6f33476de610f04b08323f6c16(外部リンク)

博士(文学)/PhD(literature)

博士(文学)。日本の「特撮(特殊撮影)」作品を誘致資源とした観光「特撮ツーリズム」を提唱し、これまで包括的な研究を実施。国内の各学術学会や、海外を拠点とした国際会議へも精力的に参加。200を超える国内外の特撮・アニメ催事に参加してきた経験を生かし、国内学術会議や国際会議にて日本の特撮・アニメ作品を通じた観光研究を多数発表、数多くの賞を受賞する。国際会議の事務局メンバーのほか、講演、執筆、観光ツアーの企画等、多岐に渡り活動中。東海大学総合社会科学研究所・特任助教。

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