1月の米雇用統計などを受けて、FRBの早期利下げ観測は急速に後退し、米長期金利は再上昇
米労働省が2日に発表した1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と、伸びは市場予想の18万人を大幅に上回った。また前月は33.3万人増と速報値の21.6万人増から上方修正された。
失業率は3.7%となり、市場予想の3.8%を下回った。12月も3.7%だったが、新たな人口推計が家計調査に組み込まれ、そこから失業率が算出されているため、直接的な比較はできない(2日付ロイター)。
平均時給は前月比0.6%増となり前月の0.4%増から加速し、2022年3月以来の大幅な伸びとなり、予想の0.3%増を上回った。
いずれも雇用状況が改善していることを示すものとなったことで、市場の一部にあった3月のFRBによる利上げ期待は消滅した模様。
米国市場の動きをみると、米債はこれを受けて下落していたが、米国株式市場はこれを雇用の改善と意識して買われた。3月の利上げ観測はそれほど強いものではなくなっていたことも要因かとみられる。
米債については、ここにきて押し目買いが入って利回りが低下していた反動となっていたとみられる。今後の米長期金利は4%を挟んでのレンジ相場となる可能性がある。
FRBのパウエル議長は4日夜(日本時間5日午前)に放送されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、金融当局として3月以降まで利下げに踏み切るのを待つ公算が大きいと語った(5日付ブルームバーグ)。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も5日に早期の利下げに慎重な見方を示した。
また、5日発表の1月のISM非製造業景況感指数が予想を上回り、個別指数では価格が大きく上昇するなどしたこともあり、米長期金利は2日に4.02%と前日の3.88%から上昇し、5日には4.16%に上昇するなど、大きく切り返してきた。