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各国の原発発電量の現状を探る

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 国の政策や事情により原発運用で生成された発電量は大きく異なる

トップはアメリカ合衆国、次いでフランス

社会生活を支える電力を創生する発電様式の一つ、原子力発電。その様式による国別の発電量の現状を、国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー周りの総括白書「Statistical Review of World Energy」から探る。

なお今件は基本として「自国内で発電=消費した電力」に限定している。例えばフランスでは電力の販売を自国産業の一環と見なしており、自国内の多数の原発で大量の電力を生み出し、周辺各国に輸出している。この場合輸出電力を受ける側(好例としてイタリア)ではこの値は「原発由来の電力消費」としては勘案されない。あくまでも国内で生み出された電力のみの話。

まずは直近2014年における発電・消費量。アメリカ合衆国が群を抜いて多い。

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(2014年)(100万トン(石油換算))(国内電力供給のみ)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(2014年)(100万トン(石油換算))(国内電力供給のみ)

続いて電力売り手としても名を知られているフランス、そしてロシアが続く。その次に韓国、中国、カナダ、ドイツが名を連ねている。一方で、普段よく耳にする国以外でも、小規模ながらも原子力による発電をしていることに「え、あの国も?」と驚く人も少なくあるまい。

そして日本だが、2011年の震災に絡んだ政治的要因もあり、発電量は大幅に縮小。2010年の66.2から2013年は3.3(×100万トン・石油換算)、そして今回分の2014年ではついにゼロとなった。本来今件グラフには名前を連ねることは出来ない値だが、参考として加えている。

経年変化で各国事情が見えてくる

次いでこの値をいくつかの注目すべき国について、逐次確認をしたもの、さらにはそれぞれの前年比を算出し、グラフ化する。主要国の原発政策・エネルギー政策もすけて見えてくる。

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(100万トン(石油換算))(国内電力供給のみ)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(100万トン(石油換算))(国内電力供給のみ)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(前年比)(国内電力供給のみ)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(前年比)(国内電力供給のみ)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(前年比)(国内電力供給のみ)(除く日本)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(1997~2014年)(前年比)(国内電力供給のみ)(除く日本)

アメリカは前世紀末までは急速な伸びを見せていたが、今世紀に入ってから横ばいに推移している。フランスも状況としては似たようなもので、増やそうとの気概がなければ、減らす雰囲気も見られない。一方でロシア、中国は確実に増加傾向にある。特に中国は絶対量が少なく、新設によって大きく跳ねることも合わせ、猛烈な勢いを示している。ここ数年は伸び率こそ横ばいだが、毎年10%超の増加が維持されている。

日本はといえば、アメリカ・フランスよりも早い時期、前世紀末あたりから打ち止め、漸減傾向を示している。さらに2011年以降は大きな下げを継続し、グラフそのもののバランスを崩す形となっている。これは言うまでもなく震災とそれに続く「要請」などをはじめとする、政治・行政上の混乱の結果。2014年は上記にある通り、絶対量の上でもゼロとなってしまった。もちろん前年比はマイナス100%。

最初のグラフに挙げた国は全部で29(稼働国28+日本)だが、白書には微量・不明な発電量のものは未記載、あるいは「その他の国」でまとめられている。また、存在はしているものの稼働していない国、これから建設を始める国(ベトナムやトルコなど)も少なくない。

主要国ではどの国においても、エネルギー政策の柱の一つとして挙げられている原子力発電。日本の動向はもちろんだが、漸増を続ける中国やロシア、そして電力そのものを輸出する施策を継続しているフランスや、シェールガス・オイルの開発でエネルギーに関する方針に変化が生じているアメリカの挙動も気になるところではある。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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