進む高齢化と分散化…初婚年齢の実情をさぐる
進む晩婚化と初婚年齢の分散化
経済上の安定感、社会通念の変化、医療技術の進展など、多種多様な原因を受けて、日本では晩婚化・高齢出産化が進行中。その実情を厚生労働省の人口動態調査の公開結果をもとに確認する。
人口動態調査の結果によれば、男女共に日本の初婚年齢は上昇を続けている。
この初婚年齢に関して、「各届け出年に結婚生活(初婚)に入った人の総数に対する、個々の年齢分布」を男女別に記したのが次のグラフ。切りの良いところで10年間隔とし、直近年の2016年分とその10年前の2006年、さらに10年前の1996年の結果を併記している。例えば2016年の「初婚の夫の年齢」における27歳は8.2%とあるが、これは2016年に初婚として結婚した男性総数のうち、8.2%は27歳だったことを意味する。
最多構成率年齢は大よそ男性が上で、最初の平均初婚年齢グラフにもある通り「男性が女性よりも晩婚傾向がある」を表す結果となっている。それと共に、
・女性は今世紀に入ってから急速に晩婚化と共に、初婚年齢の多様化(主に晩婚方面)が進行
・男性は今世紀に入る過程で晩婚化が進んだが、それ以降は単なる晩婚化ではなく初婚年齢の多様化が進み、それが平均初婚年齢を押し上げている
・男女別では女性よりも男性の方が高齢層での初婚事例の層が厚い
(2016年では30歳以上に限れば、夫は49.3%で妻は38.7%。男女間では約10%ポイントの開き)
などの傾向が把握できる。今世紀に入ってからの急速な晩婚化は最初の平均初婚年齢のグラフでも確認されており、留意すべき点ではある。
初婚年齢だけでなく出産年齢も上へと
初婚年齢が上の年齢に押し上げられれば、当然出産年齢も上昇する(「未婚の母」的な状況も想定されるが、日本ではまだごく少数派)。そこで妻の平均初婚年齢の推移グラフに、第1子・第2子・第3子の平均出産年齢を重ね、その推移を見たのが次のグラフ。
やはり「元々出産年齢も高齢化」「今世紀に入ってから高齢化が加速」の傾向は、出生時年齢にも当てはまる。初婚年齢の高まりと共に出産年齢も上昇していくが、第3子の平均年齢上昇率はやや鈍い。高齢出産のリスク、負担を考えると、上昇余地が少ないのが原因。またそこから、晩婚化が少子化の大きな要因であることも改めて理解できる。
今件グラフの第2子・第3子間の年数が小さくなる動きからは、人口増加のカギとなる人口置換水準2.08を上回る第3子が授かる機会は、晩婚化の進行以上に少なくなる事が容易に想像できる。
あくまでも今件の値は平均であり「すべてが一様に」ではない。しかし、このままのペースではあと10年内外で第3子の出生数の減少率が加速化する動きを見せて行く。「少子化問題」の一因として、対策検討が求められるポイントといえよう。
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