都会人には懐かしい思い出の電車に会える旅へ
先日、香川県の琴電(高松琴平電鉄)でレトロ車両が運転されたニュースが報じられました。
地方の私鉄はなかなか新型車両を導入することができないところが多く、その分古い車両を大切に使っていて、レトロ感満載のところが多くありますが、琴電もその一つで、京浜急行の電車や名古屋市営地下鉄の電車などが第2の人生を送っていますので、香川県を初めて訪れた方々でも懐かしい思いを持つことができる場所だと思います。
そんな中で、本日は東京や大阪で活躍した特急や急行電車が今でも頑張っている路線をいくつかご紹介したいと思います。
大井川鉄道
SLトーマスで有名な静岡県の大井川鉄道ですが、ここには大阪の南海電鉄と近鉄で活躍した車両が現役です。
大井川鉄道ではSLの他にもこういう電車が普通電車として走っています。
ありがたいことに塗装や車内の座席などもほぼ南海、近鉄当時のまま。
南海電車のズームカーは20年以上前に南海では廃車にされた車両ですので、懐かしいですね。
筆者が訪ねた時も、このように普通列車として走っていて、日常的に乗車券だけで乗れるのはありがたいですね。
片道はSLに乗って、帰りはこういう電車で帰って来るのも楽しいでしょう。
ただし、大井川鉄道ではこれらの車両の他に、元東急電鉄の通勤電車車両もありますのでご注意ください。
SLのご予約、普通電車の時刻等は大井川鉄道のホームページでお調べください。
長野電鉄
長野電鉄では元成田エクスプレスの2100形と元小田急ロマンスカーの1000形が特急電車として活躍しています。
長野電鉄では長野-湯田中間の特急列車「スノーモンキー」として元成田エクスプレスを導入した2100形が、同じく特急列車「ゆけむり」として元小田急ロマンスカーの1000形が活躍しています。
ご乗車には特急料金100円が必要ですが、車内は自由席ですから始発駅で早めに並べばロマンスカーの最前部展望席に座ることも可能です。
特急電車は定期列車ですが、長野電鉄ではこの元小田急ロマンスカーを使用した観光列車「北信濃ワインバレー号」が毎週土日に運転されていて、地元の食材を利用したお料理と長野県のワインを電車の中でお楽しみいただけるコースとして人気があります。
おいしいお料理を提供する観光列車としては比較的お値段もお安めで魅力的です。
一度乗ってみたい観光列車ですね。
富山地方鉄道
北陸新幹線の富山駅から接続するのは富山地方鉄道線。
ここには元西武レッドアローと元京阪テレビカーが活躍しています。
富山地鉄では東京の西武と大阪の京阪の共演が見られますが、車体塗装はほぼオリジナルで運転していますので、こちらも貴重な電車です。
元西武5000系のレッドアローは富山地鉄では16010系として特急「アルプス」に。
元京阪3000系のテレビカーは10030系として特急「ダブルデッカー・エキスプレス」に。
特急電車でも特急料金は不要でお乗りいただけますが、どちらも3両編成のうち中間の2両目は指定席として運転されていますので指定席料金220円が必要です。
この写真は特急「アルプス」の2号車の車内です。
JR九州のななつ星などの観光列車を手掛けたデザイナー水戸岡悦治先生のデザインです。
この車両に220円の指定券で乗れるのですからお乗り得ですね。
元京阪3000系電車は富山地鉄オリジナルのこの塗装で特急以外の電車でも活躍しています。
富山地鉄はいろんな電車が走っていて楽しいですよ。
▼詳細はこちらをご参照ください。
弘南鉄道
都会の人にとって懐かしいローカル線をもう一つご紹介します。
青森県の弘南(こうなん)鉄道です。
弘南鉄道は観光路線というよりも地元の足としての性格が強い弘前市を中心に走る私鉄路線で、特急電車などは走っていないのですが、筆者が注目するのはこの電車です。
▲大鰐温泉駅に停車中の元東急7000系電車。
東急の電車を2次利用している地方私鉄は結構多いのですが、最近は大きな改造を受けて東急時代の雰囲気が残っていなかったり、自社仕様に変更しているところが多く見受けられます。でも、ここ弘南鉄道では東京育ちの皆様方には懐かしい電車がほぼそのままの姿で走っているのです。
こういう細かなところは鉄分の濃い皆様方向けかもしれませんが、筆者が注目するのはここです。
吊革に昭和40年代の東急東横線の名残りが見られるのです。
「東横お好み食堂」「東急食堂」「東横百貨店」などなどの東急時代の懐かしい吊革がそのまま使われています。
再開発で大きく変貌を遂げている昭和の渋谷が青森県に残っているのです。
こういうところを見つけるのもローカル線の旅の醍醐味かもしれませんね。
鉄道ファンじゃなくても十分にお楽しみいただける昭和の車両が活躍する地方私鉄路線。
あなただけの旅を探しに、初夏の休日にふらりと訪ねてみてはいかがでしょうか。
※本文中に使用した写真は特におことわりのあるものを除き筆者が撮影したものです。