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育毛に効くシャンプーも登場。薄毛対策にも躍起な韓国の“ノム族”とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(ペイレスイメージズ/アフロ)

多くの男性を悩ませる“薄毛問題”。筆者も近頃、頭頂部にちょっぴり寂しさが漂い始め、育毛や発毛に関する話題にはつい反応してしまうが、薄毛に悩むのは韓国の男性も同様だ。

韓国の国民健康管理公団と製薬業界が今年4月に発表したところによると、韓国の薄毛人口は約1000万人と推算されるという。

国民の5人に1人が脱毛症に悩まされているというのだ。

また、日本でも関心が高まっている薄毛治療専門の病院を訪ねる人々も増えており、この5年間で薄毛治療のために病院を訪れた患者の数は105万人以上に上るという。

(参考記事:「頭皮が熱い・かゆい」は薄毛の原因に。韓国の専門医に聞く対策と予防法)

美に投資を惜しまない“ノム族”とは

とにかく、多くの男性が薄毛に悩まされ、解決法を模索しているわけだが、最近は“ノム族”も増えているだけに、その悩みはなおさら深刻だろう。

“ノム族”とは、“NO MORE UNCLE族”の略。「おじさんとは言わせない!」といった心構えで、若々しく健康的なライフスタイルを送ることを目指す40~50代の男性を指す造語だ。

彼らは自分を若く美しく見せるためにはお金と時間を惜しまず、美容やアンチエイジングに投資しているという。

ちなみに、“コッチュンニョン(花中年)”や“ヤング・フォーティー”といった言葉もあるが、いずれも意味は変わらない。

(参考記事:「美しさと若さ」を求めて美容整形に発毛まで…努力惜しまぬ韓国の“サナイ”たち

さまざまな造語が続々と生まれていることからも、韓国でも中高年男性たちの美意識や健康志向が高まっていることが伝わってくるが、美容市場でも“ノム族”は注目されている。

市場調査機関『ユーロモニター』が発表したところによると、昨年、韓国の男性化粧品の市場規模は、前年比4.1%増の1兆2800億ウォン(約1280億円)を記録したという。

日本の1192億円(2016年、矢野経済研究所調査)を上回る数字だが、『ユーロモニター』は今後も市場は拡大し続け、2020年には1兆4000億ウォン(約1400億円)まで拡大すると予測している。

そして、そんな男性化粧品の市場をリードしているのが、ほかならぬ“ノム族”なのだという。韓国メディア『水原日報』は、上のデータを紹介しながら、「特に40~50代の男性が老化に敏感に反応し、化粧品の需要が高まっている」と分析している。

また、“ノム族”は美容整形にも積極的だという。韓国は整形大国としても知られており、人気女優やアイドルも整形を暴露することもあるほどだが、最近はためらいなく美容整形を行う中年男性も少なくないという。

「コーヒーシャンプー」に美女薄毛スタイリストも話題

“ノム族”をはじめ、多くの中年男性が若さを保つことに力を注いでいるわけだが、そんな彼らにとって、薄毛が悩みの種になっていることは想像に難くない。

実際、50代の男性のうち半数は薄毛に悩まされているというから、その悩みの大きさが伝わるだろう。それだけに、より効果的な予防法や育毛・発毛法を求める男性も絶えず、薄毛対策が話題になることも多い。

例えば、「コーヒーシャンプー」だ。

「コーヒーシャンプー」とは、その名の通りコーヒーなどを混ぜたシャンプーで、バラエティ番組で紹介されて注目された。専門家もその効果を認めており、自宅で手作りできることもウケた理由の一つだったようだ。

(参考記事:薄毛予防に効果アリ!? 韓国で話題の「コーヒーシャンプー」の作り方

また、最近は植毛にも注目が集まっており、メディアで「植毛Q&A」といった特集が組まれることも珍しくないが、育毛や発毛でもなく、植毛でもない“薄毛専門のヘアスタイリング”という薄毛カバー法も登場している。

“美しすぎる薄毛専門カリスマ美容師”イ・ミヨンの施術が有名で、そのスタイリングを受けた客の中には、「かつらを付けている」と疑われた人もいるという。

このように薄毛に対する様々な対策が韓国で話題を集めているわけだが、それは“ノム族”をはじめ、美に気を使う男性が増えていることとは無関係ではないだろう。

いずれにしても、多くの韓国男性が薄毛に頭を悩ませていることは間違いないが、筆者も薄毛に悩む一人の男性として、日本とは似て異なる韓国の薄毛事情についつい反応してしまう今日この頃だ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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