ロシアの最新気象衛星が軌道上で衝突事故 復旧作業中
2019年12月24日、ロシア国営宇宙公社ROSCOSMOS(ロスコスモス)は、気象衛星Meteor-M N2-2が軌道上で何らかの物体と衝突し、12月18日から運用できない状態に入っていると発表した。衝突したのは微小流星物質または微小なスペースデブリとみられ、復旧作業が続けられている。
Meteor-M N2-2は2019年に打ち上げられた最新型の気象衛星。ロシアが長く運用を続けてきた気象衛星Meteor-Mシリーズの第3世代で、2001年打ち上げの初号機から5機目にあたる。2019年から2024年まで5年間運用される計画だ。
重量2.9トンの衛星は高度821キロメートルの太陽同期軌道(地球上のある地点を毎日同じ時刻に観測できる南北の軌道)を周回している。世界気象機関(WMO)の世界気象監視計画に参加しており、気象観測、オゾン層観測、海面水温や海氷観測の役割を担っていた。
ロスコスモスの発表によれば、衛星は微小な物体の衝突により回転を続けており、異常を検知した際に自動的に発動する、観測機器などを停止する状態になっているという。ロシアの地上局とは通信が可能になり、衛星の状態を確かめる活動が続いている。回転速度を突き止め、姿勢を復旧させて運用を再開する目標だ。
オランダのライデン大学の天文学者でSSA(宇宙状況認識)の専門家であるマルコ・ラングブローク博士は、Meteor-M N2-2が12月18日から急激に高度が下がっているデータの画像をTwitterで公表しており、ロスコスモスの発表を裏付けている。
Meteor-M N2-2と同型で4号機にあたるMeteor-M N2-1は2017年11月に打ち上げられたが、ソユーズロケットからの分離が正常に行われず、軌道に到達しなかった。3号機にあたるMeteor-M N2は2019年で運用を終了しており、現在の復旧が遅れればロシアで南北の軌道を周回する気象衛星に空白が生じる懸念がある。6号機にあたるMteor-M N2-3は2020年に打ち上げられる予定だ。