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「台風は温帯低気圧に変わりました」で警戒は呼びかけられているのか

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風6号の気象衛星画像。台風は12日午後6時に四国沖で温帯低気圧に変わった。

「台風は温帯低気圧に変わりました」と見聞きした際、みなさんはどのような印象を持っているでしょうか。

温帯低気圧に変わっても危険は変わらず

台風は、熱帯・亜熱帯の空気でできた低気圧の渦です。台風が北上するにつれて、北からの冷たい・涼しい空気も入り込んだ渦になると温帯低気圧に変わります。

温帯低気圧に変わっても、勢力は変わらないこともありますし、再発達して強まることもあります。

台風が温帯低気圧に変わった際、「構造が変わっただけで、暴風や大雨のおそれは引き続きあり警戒を」などと解説します。

理解をして頂ける方も多い一方、「大したことなかったんですね」「ホッとしました」などとコメントを寄せる方も多くいて、無力感のようなものを感じることもあります。

出なくなる進路予想図

「弱まった感」を漂わせないためには、温帯低気圧に変わったことを、無理に強調せず報じることも一つの方法でしょう。そのためには、台風時と同等の情報内容で伝えることが必要になってきます。

12日午後5時時点の台風6号の進路予想図。(気象庁ホームページ)
12日午後5時時点の台風6号の進路予想図。(気象庁ホームページ)
台風6号が温帯低気圧に変わった12日午後6時の台風情報。(気象庁ホームページ)
台風6号が温帯低気圧に変わった12日午後6時の台風情報。(気象庁ホームページ)

現状は、台風が温帯低気圧に変わると、進路予想図がパタッと出なくなります。

今回の台風6号は、これから暴風雨が東日本の陸地に近づくというタイミングで温帯低気圧に変わり、進路予想図は出なくなりました。

たしかに、「低気圧としての構造が変わっただけで危険は変わりません」と言いながら、出す情報が変わっているというのは説得力に欠けていると、警戒を呼びかけながら自らが感じる部分です。

トーンダウン感を出さないためには?

もちろん、民間の気象会社などが「温帯低気圧進路予想図」として台風の予報円のような情報を出すことも有りとは思いますが、災害を引き起こすような現象進行中ということを考えると、気象庁の出す警報との整合性など問題点が出てくるかもしれません。

台風の進路予想図は、ネットでのアクセス数などから見ても、接触しようとする人が非常に多い情報です。それがパタッとなくなると、それ以上の情報に接触しない人も多くなります。

せっかく自ら情報を取りに行く人が増えているのに、その入り口を減らすのはもったいないと感じます。

進路予想図だけで解決する問題ではないとは思いますが、台風が温帯低気圧に変わっても、トーンダウン感を出さないようにするには、どのようにするのが良いのでしょうか。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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