2025デフリンピックTOKYOへ期待する「ダイバーシティでつながる社会づくり」その2
つながるための情報保障。その先にあるものは?
情報のカタチを置き換えて取得する保障。その1から続けて考えてみましょう。まず情報ってなんでしょう?今、世界は情報に満たされ、おぼれそうなくらい。でもいくらでも欲しいし、向こうからも押しかけてくる。保障してほしい情報はその中ではっきりした意味を持っています。共有すべき内容であり、共有つまりともにある、持つということ。これを意識すると情報を得ることで連帯感・一体感を生み出し、仲間となってつながり、肩を組んで歩むようなエネルギーを得られるでしょう。それは支える、支えてもらうではなくともに体験し、支えあい、楽しみ、次を創造していく。ともに生きる共生です。
スポーツやアートも含まれる文化創造はすでにそれを芽吹かせています。聴こえない人のダンス、手話ボーカル、障害者劇団。個性豊かな表現が輝きます。2017年となってしまいますが、そういうアーティストを紹介した記事をご参照ください。
今、アートで沸騰するダイバーシティ。(その2:パフォーマンス・アート報告)
今、アートで沸騰するダイバーシティ。(その2.5:ハレと日常の新時代)
下段2.5で紹介したくはのさんの「記号カラダンス」は情報保障の先にある共通のパッション共有を目指しています。手の動きと顔の表情で表す繊細かつ雄弁な言語である手話。その手話も超え、会話する、歌う、踊るのも超えて共通の記号やアクションで一体感を最高レベルに持っていくというトライです。そこでは聞こえないなんて関係ない。音楽性、リズム感そしてみんなで連動して動く喜びでつながります。参加した手話通訳者もつながりに満たされたと感動を述べています。情報保障の先には寄り添い、躍動する熱いつながりのフィールドがあると考えています。
寄り添う。つながる。現在の世界不安や軋轢を超える意識もここからです。
戦争、経済のひずみ、高齢化課題ほか辛い情報が多く、やるせなさや冷たい孤独感を感じてしまいます。乗り越えていくのはそれも人同士の支えあい、いや支えられあいです。助けを待つのではなく。自分から助けられあう者同士で支えあうことです。令和6年元日に発生した能登半島地震の現地には、東日本大震災以降、多発する自然災害の経験や支えられあいの手が差し伸べられました。国、自治体等公助のはざまで取り残されないように支援に活躍する方々。能登半島という地域性もあり、ろう者や視覚障害者は情報どころか避難生活の輪からもとり残されがちです。いち早く現地に入った株式会社プラスヴォイスさんは集落を回り、寄り添いをつなぎ、自治体へも支援具体策を働きかけ、情報はネット上に内容ごとにショート動画で公開し、現在も継続中です。
能登町避難所での活動レポート映像(出展:プラスヴォイス公式チャンネル)
視覚障害者への情報では日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS)は一般公開情報を同期して提供するサイト運営ノウハウで情報の確実で集約された共有を実現しています。
この2つを寄り添いの事例として紹介しました。多数の活動が現地の今と未来を支えています。デフリンピックの主催となる全日本ろうあ連盟は厚く長期にわたる支援計画を進めています。デフリンピックの開催と被災地支援の聴覚障害者災害救援基金は寄り添いとつながりづくりで一体になって進みます。
この記事が公開されるとやがて水害が心配な梅雨がやってきます。いつどこで起きるかわからない地震もとても心配です。寄り添う気持ちはあっても具体的に何をすべきか、できるかは難しいものです。経済不安や世界の平和維持もすべて自分につながる事であり、前向きに考える起点としてとらえるきっかけになればと願っています。