年齢階層別の最終学歴をさぐる
学歴が個人を推し量る指標の一つには違いない。一方で昔と今とでは高等教育に関する認識や環境が違うことから、若年層と高齢層とでは大卒者の比率が違うなど、世代で学歴の比率実情に違いが生じているのではとの指摘もある。その実態を国勢調査の結果から確認する。
国勢調査の結果において、最終学歴が確認できるのは10年おきの大調査のみ。現状では2010年分の調査結果が最新のものとなる。そこで2010年の結果につき、年齢階層別に最終卒業学校の種類別人口比率を算出したのが次のグラフ。卒業したのは確かだが学歴が分からない人、在学者や未就学の人は除いて計算している。
15~19歳は多分が高卒、あるいは小学校・中学校卒が3割近くを占め、大卒などが皆無だが、これは大学へ進学した人は在学中で計算から除外されるため。20代になると短大・高専卒や大学・大学院卒者が数字上に表れるようになる。
20~30代までは短大・高専卒と大学・大学院卒者で合わせて過半数に達しているが、40代以降になると少しずつ小卒・中卒や高卒者が増えていく。高等教育の普及浸透に伴い、若い人ほど高学歴の人が増えている実情を、統計の上から確認できる次第。
これを男女別に仕切り分けして計算した結果が次のグラフ。
10代が高卒、あるいは小学校・中学校卒で占められているのは男女変わり無し。20代以降になると大学・大学院卒は男性の方が高比率だが、女性は圧倒的に短大・高専卒が多く、20~40代まで3割前後の値を維持している。結果として20代から50代までは男性よりも女性の方が、高卒、あるいは小学校・中学校卒の割合は小さなものとなっている。
また大学・大学院卒の比率を見ると、男性は50代までほぼ一定の値を示しているが、女性は少しずつ減少している値動きを見せている。男性における大学・大学院卒の学歴取得は、今の50代辺りから現状に近しい状況を見せ、女性は逐次増加の一途にある様子が分かる。その分女性は今の40代から50代辺りから、短大・高専卒の学歴取得が盛んになっていたのだろう。
余談ではあるがそれぞれの性別、そしてさらに年齢階層別に仕切り分けした上で、最終学歴取得者以外に在学者や未就学者まで合わせた上で、積み上げ型の人口グラフを形成したのが次のグラフ。
10代は大部分が、20代も少なからずが在学者。男女とも若い世代ほど短大・高専卒者や大卒者が増え、中卒者や高卒者が減っていく。他方男女別では男性が大卒者が多いのに対し、女性は短大・高専卒者が多い。男性と女性との間の高等教育に対する考え方の違いが、多分に表れた結果だろう。
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