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テレビは一日平均2時間半…米成人の遊びの実情を時間配分で確認

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 日本と比べ大人も時間を有意義に過ごしているように見える米国だが……(写真:アフロ)

平日は少なめ、仕事があるから

日本と比べて大人も遊びに長けているように見える米国だが、実情としてプライベートな遊びにはどれほど時間を割いているのだろうか。米国の労働省労働統計局の公開データを元に、同国の15歳以上の大人に関する行動性向のうち、テレビ鑑賞や運動のようなプライベートにおける遊びの内面を、時間配分の観点で確認する。

まず最初に示すのは、15歳以上の平日における趣味趣向の時間配分。15歳以上すべてが対象のため、就業者以外に無職の人もおり、さらに休日などに働く就業者も居るが、該当日には就業している人の比率が高いためか、後述する休日などと比べると短めの値が出ている。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)

運動やスポーツは10分から20分、雑談などは30分程度、テレビ鑑賞は2時間半、読書は20分前後。ゲームで遊ぶ時間は案外少なく30分にも満たない。男女別ではさほど大きな違いは無し。テレビやゲームは男性が長め、読書や雑談は女性が長めとなっており、それらしい値動きをしている。

これを属性別に見たのが次以降のグラフ。まずは年齢階層別。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(年齢階層別)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(年齢階層別)

運動は20歳未満がやや長めで後は変わらず。雑談も大きな変化は無し。読書やくつろぎの時間は歳を経るほど長くなり、特に75歳以上では大きく伸びる。ゲームなどは20歳以上が大きく伸びており、それ以降は減退。ただし中堅層以降は少しずつ伸びていくのが興味深い。ゲーム以外に個人目的のインターネットアクセスも含まれるため、多分にそちらが加味されているのだろう。

テレビ鑑賞時間は要注目。20歳未満で長めで、それ以降は減退。ただし45歳以降は増加しはじめ、シニア層になると大きく伸びる。65歳以上は平日でも4時間前後をテレビ鑑賞にあてている。これは仕事を辞めて時間に余裕ができ、それをテレビに費やしているからなのだろう。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(就業形態別)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(就業形態別)

「就業者」とはフルもパートも含めた働き人全体の平均。フルタイムよりもパートタイムの方が自分の時間が取りやすく、そして非就業者はさらに自分の時間への余裕が出てくるので、各余暇の時間が長いものとなる。もっとも非就業者が大きく伸びるのはテレビ鑑賞と読書が主で、特にテレビの伸びが著しい。暇な時にはテレビが一番の友のようだ。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(週当たりの収入別(フルタイム就業で副業無しの者限定))
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、平日、1日あたり、時間:分)(週当たりの収入別(フルタイム就業で副業無しの者限定))

収入別では高収入ほど運動や読書の時間が増え、くつろぎやテレビ鑑賞の時間が減っている。ゲームの時間も短めとなる。

また、テレビ鑑賞時間が最長でも2時間強しかないこと、今グラフが「フルタイム就業で副業無しの者限定」であることを合わせ考えると、テレビ鑑賞時間が長い人は多分に、パートタイム就業か無職であることが分かる(そしてその実情は無職者によるものであることは前述のグラフの通り)。

休日はプライベートを満喫しているのか

続いて休日の実情。今件の休日は暦上のものであり、休日に働く人もいるため、就業者のお休みの日ではないことに注意する必要がある。また無職者にとっては平日と休日の差異はあまりない。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)

いずれも平日と比べてやや長くなるのは当然だが、特にテレビ鑑賞時間において男女の差が大きくなっているのが特徴的。男女間で1時間近い差が生じている。また、ゲームなどの時間も長くなる。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(年齢階層別)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(年齢階層別)

年齢階層別では学校や就業の拘束がほとんどなくなるため、平日と比べると極端な差異が出なくなっており、次第に増加・減少の動きを見せるようになる。それぞれの年齢階層における好き嫌いがそのまま表れていると見て良いだろう。特にテレビや読書の値でシニアが、ゲームで若年層が大きな値を示しているのが特徴的。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(就業形態別)
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(就業形態別)

就業形態別ではほとんどの人が休みとなるため、実質的に大きな差異は出ていない。非就業者だけテレビや読書、くつろぎなどで突出した値を示しているが、これは少なからず高齢者が多分に占めることによるものだろう。とはいえ休みの日に「ながら鑑賞」を含めずにテレビに注力するのが1日4時間とは、ずいぶんと長いような気がする。

↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(週当たりの収入別(フルタイム就業で副業無しの者限定))
↑ アメリカ合衆国の趣味趣向の時間配分(2015年、15歳以上、休日、1日あたり、時間:分)(週当たりの収入別(フルタイム就業で副業無しの者限定))

収入別は大よそ収入と知識探求心が連動しているように見える。テレビ鑑賞時間は高年収ほど減り、読書時間は増えていく。また旅行などの時間も高年収ほど長時間≒機会が多いのは印象的。

今件はあくまでも平均値であり、個人差は多々生じうるが、属性別に仕切り分けした統計値によって、それぞれの属性の行動性向、日々の過ごし方、余暇の楽しみ方の違いが透けて見えてくるのが興味深い。特にテレビ鑑賞時間の長さの動向は、日本とさほど変わりがないことを実感させてくれる値動きであり、注目したいところでもある。

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ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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