Yahoo!ニュース

熱烈イチローファンの妻とその旦那 我慢の裏にある愛の物語 #dearICHIRO

山崎エマドキュメンタリー監督

〜イチローファン物語 第4弾〜

「私は鈴木一朗っていう人間が好きなんです。野球選手じゃなくてもきっとファンになったと思いますね。」そう語るのは千葉県銚子市で旅行代理店を営む萩原政枝さん。車のナンバーはもちろん51。仕事場は壁から机まですべてイチローグッズで埋め尽くされてる。2007年に旅行会社の会社員から独立。「お客さんなんていなかったですね、最初は。本当に苦しい日々で、どうしてこんなことを始めたのか自問自答。不安で憂鬱な日々でした。」

イチロー選手がメジャーリーグに挑戦した時、「国を代表して行くんだから、日本人として、それは応援しないといけない」と感じた萩原さんは、いつかシアトルのセーフコ・フィールドに行って応援したいと願っていた。が、目の前の営業で手一杯の毎日。「1年続けられたら3年頑張ろう。3年続けられたら5年」と言い聞かせ、ようやくたどり着いた独立から5周年。ご褒美に、やっと念願のシアトルを訪れることができた。

今年春、自身も廃業して引退するかどうか悩んだ萩原さん。だが、「5年後にイチロー選手が野球殿堂入りするとき、必ずアメリカ・クーパーズタウンでその姿を見たい」と奮起し、それまで仕事を続けることを決意。

異業種の萩原夫婦。農業を営む旦那の博さんはなんと萩原さんが旅行業を始めた時に、初めてアテンドしたお客さんだった。アメリカにイチロー選手を見に行くことが独立5周年の初訪問以来、毎年の恒例行事になっても、「ダメだ」と言われたことはないそう。博さんは奥さんのイチロー選手に対する溢れる愛情をどう思っているのか。

「僕も(イチローさんを)尊敬してます。2人でそこまでハマってしまうとどうしようもないので」と冷静な博さん。「もうイチローのことを考えてると私のことは頭にないんで。見えるところは必ずイチローのポスターだったりカレンダーだったり…我慢しています」と告白。「えっ、我慢してるの?」と驚く萩原さん。だが、流れている空気は愛に包まれていた。

「今年もシアトル行くのね」と笑う博さんの眼差しが、夕暮れ掛かる空のように優しく、私は2人を見ながらずっと微笑んでることに気がついた。博さんは結婚後も萩原さんに「農業を手伝ってくれ」と言ったことが一度もない。突っ込み合い、尊重し合い、「お互い好きなことやってるんで」と言って笑える関係。そこには深い愛情と、夫婦の強さがあった。これからも全力で仕事を続ける萩原さんの支えは、イチロー選手への思い以上に、旦那さんの存在にあるのだと確信した。

こんなほっこり話もイチローさんに届け!
平成のヒーロー、イチローの、ファン物語。次回に続きます。

――――

イチローさんに思いを伝えるみなさんの『私とイチローの物語』を募集します。

ハッシュタグ #dearICHIRO とつけて、動画・文章、どんな形でも良いのでSNSに投稿してください!

私と直接繋がってくださる方・問い合わせ等はこちらまで:

dear_ichiro@yahoo.co.jp

#dearICHIRO 思いを、届けよう

ドキュメンタリー監督

日本人の母とイギリス人の父を持つ。19才で渡米しニューヨーク大学卒業後、エディターとしてキャリアを開始。長編初監督作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』ではクラウドファンディングで2000万円を集め、2017年に世界配給。夏の甲子園100回大会を迎えた高校野球を社会の縮図として捉えた『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』は、2020年米スポーツチャンネルESPNで放送し、日本でも劇場公開。最新作『小学校〜それは小さな社会〜』では都内の小学校の一年に密着。その他、NHKと多くの番組も制作。日本人の心を持ちながら外国人の視点が理解できる立場を活かす制作を心がけている。

山崎エマの最近の記事