今度はBLACKPINK。TWICEら多国籍グループはいかにして作られているのか
日本でまだまだ人気の冷めやらないTWICEに続いて、8月30日にはBLACKPINK(ブラックピンク)も日本デビューアルバムをリリースし、活動を展開するという。
BLACKPINKは、BIGBANGの所属事務所であるYGエンターテインメントが送り出した4人組のガールズグループ。デビュー曲『BOOMBAYAH』のPV再生回数がたった1年余りで2億回を突破した、注目の大型新人だ。
TWICEとBLACKPINKを見ていると、7年前に日本でK-POPブームを巻き起こした少女時代とKARAを思い出す。ただ、その頃と違って現在のK-POPは一段と進化していて、恐ろしいとさえ言えるほどだ。
(参考記事:日本デビューしたTWICEとBLACKPINKが「少女時代とKARAの再来」と言われる理由)
K-POP界における多国籍化という戦略
そもそもK-POPはいち早く海外市場に目を向けて最新トレンドを積極的に取り入れてきた。手の込んだ楽曲やスタイリングを披露するだけでなく、EXO(エクソ)のように独特の世界観を持って“ストーリー”を作っていくグループも登場しているほどだ。
そういった中、最近のK-POP界にはとある現象が起きている。ずばり、「多国籍化」だ。
TWICEが韓国・日本・台湾出身のメンバーで構成されたことは以前も紹介したが、BLACKPINKも韓国・オーストラリア・タイ出身のメンバーで構成された“多国籍グループ”。現在韓国には、宇宙少女、Fiestar、GOT7、SEVENTEEN、NCTといった多くの多国籍グループが存在する。
(参考記事:こんなにもいた!! K-POPグループとして活動する中国・日本・台湾出身アイドル10人)
K-POPグループが多国籍化を進める最大の理由は、韓国のみならず、グローバル市場を意識し狙うためだ。
日本出身メンバーが日本で注目を集めたTWICEを見ても分かるように、韓国人メンバーだけでの日本進出よりも、日本人メンバーもいるグループのほうが言葉の問題や文化の違いなどのハードルも下がり、親近感も持たれやすい。海外出身メンバーがグループ全体にもたらす影響は大きいのだ。
政治・歴史的問題に巻き込まれるリスクも
ただ、アイドルグループの多国籍化にはメリットばかりあるのではなく、リスクとトラブルも伴う。
例えば、多国籍グループRANIAのアメリカ人メンバーが韓国人スタイリストとのミスコミュニケーションによって、極端に小さい衣装を身にまとったせいで肌を露出してしまったことがあるし、海外出身メンバーと所属事務所とのトラブルも後を絶たない。元EXOの中国人メンバーとSMエンターテインメントとの契約トラブルはその典型だろう。
それよりももっとも悩ましいのは、海外出身メンバーが政治・歴史的問題に巻き込まれてしまうことかもしれない。
昨年、TWICEの台湾人メンバーツウィが韓国のテレビ番組で台湾の旗を振ったことで中国人から「台湾独立派」猛批判を受けた“ツウィ事態”によって、TWICEは中国進出計画を半ば断念せざるを得なかったことがその代表例だろう。
韓国と歴史的に絡んでいる日本や中国、台湾出身のメンバーがいるグループは、常にこういうリスクを抱えながら活動するしかない。
韓国人のいないK-POPアイドルグループも登場
それでも、K-POP界における多国籍化は今後も続きそうな気配だ。
韓国の芸能事務所は、外国人メンバーを見つけだすためにわざわざ現地でオーディションを開催したり、YouTubeなどを通じて直接スカウトしたりと、外国人メンバーの発掘に積極的な姿勢を見せているし、そうやって見つけた外国人練習生には韓国語のレッスンや歴史・文化教育を行い、ホームシックにならないよう気を使うなど、韓国人練習生より何倍もの労力と資金を投資している。
(参考記事:K-POPアイドルグループの外国人メンバーの探し方と育て方)
そんな多国籍化ブームがノリに乗って、2017年には“EXP EDITION”というK-POP史上初の“韓国人がいない”グループもデビューした。
メンバーはそれぞれアメリカ、ポルトガル、コロンビア出身で韓国どころかアジアの要素すらないのだが、それでもK-POPアイドルと同様に韓国語で歌い、振る舞う彼らはK-POP界に大きな衝撃を与えている。とあるメディアが韓国で行ったアンケート調査では、参加者の90%が「EXP EDITIONはK-POPグループではない」と回答したというのだ。
いずれにしても、世界の音楽市場で生き残るために新しい未来を模索し続けているK-POP。その動向には、今後も注目していきたい。