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危険な「逆走事故」はなぜ起こるのか、どう防ぐべきか  #専門家のまとめ

柳原三佳ノンフィクション作家・ジャーナリスト
写真はイメージです(写真:イメージマート)

 お盆休みの8月15日、栃木県那須塩原市の東北自動車道下り線で痛ましい事故が発生しました。逆走してきた軽自動車が、追い越し車線を正常に走行していた乗用車と正面衝突し、双方のドライバーが死亡、乗用車に乗っていた子ども2人が重傷を負ったのです。

 高速道路は本来一方通行であり、被害者にとってはまさに想定外、不可抗力の極めて危険な事象です。

 なぜ本件事故は起こったのか? また、逆走事案はどのような頻度で発生し、どんなドライバーが起こしているのか、まとめてみたいと思います。

ココがポイント

▼東北道を逆走した加害車は、直前に本線でUターンしていた

「終わったなと思った」高速道路で“Uターンして逆走”?東北道で正面衝突…2人死亡(テレ朝news)

▼高速道路での逆走は頻発。死亡事故率は極めて高い。高齢ドライバー要注意

東北道4人死傷事故 高速逆走事案は2日に1回発生、死亡割合15倍 高齢ドライバー多数(産経新聞)

▼逆走はインターチェンジやジャンクション付近で多発。

なぜ高速道路に「逆走車」現れる? 死亡事故も発生… 誤進入で“無理やりUターン”が絶対ダメなワケ(くるまのニュース)

エキスパートの補足・見解

 国土交通省の調べによると、逆走事案件数は毎年約200件発生しているとのこと。2023年は224件との報告があったそうで、そのうち約20%が、物損や人身事故につながっていました。

 注目すべきは、逆走したドライバーの年齢です。約70%が65歳以上の高齢者となっており、認知機能や判断能力の衰えが影響している可能性が考えられます。

 加速する高齢化社会において、こうした危険をどう回避すべきか、対策が急がれます。

 今回の東北道での事故では衝突車両が2台とも炎上したため、ドライバーの身元や年齢がまだ発表されていませんが、高速道路の本線でいきなりUターンするというのは通常では考えられない危険な行為です。

 事故直前に何が起こっていたのか、捜査の結果が待たれます。

 休暇中は慣れない土地へ出向くことも多いと思いますが、万一、インターチェンジやジャンクションで間違いをした場合は、決して焦らず、次の出口までそのまま走行を続けてください。

ノンフィクション作家・ジャーナリスト

交通事故、冤罪、死因究明制度等をテーマに執筆。著書に「真冬の虹 コロナ禍の交通事故被害者たち」「開成をつくった男、佐野鼎」「コレラを防いだ男 関寛斉」「私は虐待していない 検証 揺さぶられっ子症候群」「コレラを防いだ男 関寛斎」「自動車保険の落とし穴」「柴犬マイちゃんへの手紙」「泥だらけのカルテ」「焼かれる前に語れ」「家族のもとへ、あなたを帰す」「交通事故被害者は二度泣かされる」「遺品 あなたを失った代わりに」「死因究明」「裁判官を信じるな」など多数。「巻子の言霊~愛と命を紡いだある夫婦の物語」はNHKで、「示談交渉人裏ファイル」はTBSでドラマ化。書道師範。趣味が高じて自宅に古民家を移築。

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