みずほ銀行にマイナス金利適用、矛盾だらけの日銀のマイナス金利政策
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みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用されたことが分かった。2016年2月のマイナス金利政策の導入以来、同行にマイナス金利が適用されるのは初めて。メガバンクでは2021年12月~2022年1月の三菱UFJ銀行以来、半年ぶりとなる(17日付日本経済新聞)。
日銀のマイナス金利政策は金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0.1%の利息を課す。デフレ脱却を目指すための追加政策であった。マイナス金利がどうしてデフレ脱却となるのかは理解できない。その経路を示してほしいが、少なくとも2016年から6年あまりは物価目標に距離があり、その効果があったとは言えない。
当座預金は0.1%の金利が付く基礎残高、ゼロ金利のマクロ加算残高、マイナス0.1%の金利が付く政策金利残高の3階層に分かれている。政策金利残高部分にのみ、マイナス金利を課せられる。
これはマイナス金利による金融機関の収益悪化を意識したものである。いまさらながらこれでは、日銀が想定していたマイナス金利の政策の効果が打ち消されてしまうと思うのだが。
6月の日銀とヘッジファンドの攻防戦の結果、短期国債の利回りが想定以上に低下してしまった。みずほ銀行などメガバンクは資金を市場で運用してマイナス金利の適用をできるだけ回避してきた。しかし、その大きな運用適用先の金利がマイナス0.1%以下となってしまい、日銀当座預金に積む資金が膨らんだ格好となった。
そもそも仕掛けたヘッジファンドが悪いとみる向きもあるかもしれない。しかし、2%の物価目標がクリアしてきたことで、むしろ頑なに非常時緩和を続ける日銀の政策に違和感がある。
2%の物価目標はクリアされ、景気も落ち込んでいるわけではないにも関わらず、戦時下のような金利統制をする必要性がどこにあるのか。賃金が上昇していないからというが、いつから日銀は金融政策の目標を賃金に置くようになったのか。金融政策で賃金を動かせるのか。
日銀に欧米のような積極的な利上げをしろとまでは言わないが、少なくとも戦時下のような政策は通常の金融緩和策(短期金利の誘導だけのゼロ金利政策)に修正すべきではないのか。あらためて問いたい。