オバマ米大統領訪独の晩餐会で注目されたプファルツ産ワイン「KAITUI」
警察官総勢8千人の厳重な警戒の中で開催された6月19日のオバマ米大統領ブランデンブルク門前での演説、そしてシャルロッテンブルク宮殿での歓迎晩餐会も無事終了し、首都ベルリンはまたいつもの都会の顔を取り戻した。
その後ドイツで話題になっているのが、メルケル首相主催の歓迎晩餐会で提供された2012年プファルツ産白ワインソーヴィニヨンブラン(Sauvignon Blanc)「Kaitui」と2012年ヴァイスブルグンター(Weissburgunder)だ。
このプファルツ産ワインは一体どんな経緯で選定されたのだろうか。早速このワインを産出したワイナリーシュナイダーに足を運んでみた。
2週間不在というワイナリーの主マルクスさんに代わって妹二コルさんと母親ローゼマリーさんに話しを聞いた。
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外務省から突然電話が入った!
「オバマ大統領訪独の2週間前、突然外務省から電話が入り、歓迎晩餐会でシュナイダーワイナリーのKaituiとWeissburgunderを提供したいという連絡を受けました」というマルクス・シュナイダー氏(Markus Schneider・37歳)。
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マルクスさんは、ドイツワイン街道沿いの街エラーシュタット(Ellerstadt)で活躍する若手ワイン醸造家。ワインつくりを始めたのは1994年からと歴史は浅い。
とはいっても、彼の父親はワイン用ぶどう生産者として地元のワイン組合にぶどうを提供していたため、マルクスさんもいつもぶどうに囲まれて生活していた。
ワイナリーとして個人名でワインを作り始めたのはマルクスさんが家業を受け継いでからという。
「Kaitui 」ワインが選定された理由
今回大きな注目を集めた「Kaitui」は、ニュージーランド産のワイン用ぶどう品種ソーヴィニヨンブランをドイツで栽培し醸造された白ワイン。名前の由来は、ニュージーランドのマオリ族語から用いたもので、「Kaitui」はシュナイダーの意味。
ちなみにKaituiワインは、晩餐会のメインディッシュ(魚料理)に、そしてヴァイスブルグンターはレセプション用に供された。
シュナイダー氏のワインが選ばれた理由は、晩餐会の4品コースメニュー料理を担当したベルリン・2つ星グルメレストランシェフラウエ氏(Tim Raue)が推薦したためだ。
ラウエさんは、今回のメインディシュにあうワインは「Kaitui」だということで推したそうだ。
マルクスさんは、「ラウエさんは、料理に合わせてワインを選ぶことはもちろんだが、ワインに合わせて料理を考え出す凝り性」と語る。
エラーシュタットの街中にあるシュナイダーワイン事務所で取材後、少し離れたワイン畑の中にある超近代的なすばらしいワイン試飲販売店を訪問した。
早速「Kaitui」を試飲をしてみると、最初の口当たりはフルーティ、そのあとさわやかなドライな味が口中に漂った。
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ヴァイスブルグンター、リースリング、ロゼワインなども試飲したが、どれもお勧めの口当たりだ。
オバマ大統領が要望したワイン
実は、「1963年訪独したケネディ大統領が口にしたプファル産リースリングのようなワインがあれば」というのがオバマ大統領の要望だったという。
連邦外務省は、当時のワインに匹敵するモダンな「Kaitui」と「Weissburgunder」のほか、ラインヘッセン・ベヒトハイムにあるワイナリードライシックアッカー醸造の2011年リースリング発砲ワイン(レセプション用)と2011年リースラーナーべーレンアウスレーゼ(デザート用)をラウエ氏の推薦により選定したそうだ。