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ルイ・ファン・ハール、オランダ代表監督3度めの就任近づく。コーチ編成明らかに

中田徹サッカーライター
14年W杯。左からブリント、ファン・ハール、クライファルト、フック(写真:Action Images/アフロ)

■「協会とファン・ハール、オランダ代表監督要請に合意」(オランダ最大手の通信社)

 オランダの通信社『ANP』は7月21日夜、「ルイ・ファン・ハールはKNVB(オランダサッカー協会)のオランダ代表監督就任要請に合意した」という記事を配信した。8月8日に70歳の誕生日を迎えるファン・ハールにとって、これが3度めのオランダ代表監督ということになる。契約は2022年カタールワールドカップまでの18ヶ月。税務上の都合から、ファン・ハールはアルガルベに住み続けながら代表監督の仕事をすることになる(ファン・ハールはオランダ、スイスにも拠点がある)。

 現時点で明らかになっているコーチングスタッフは、デニー・ブリント(現アヤックス監査委員会)、ヘンク・フレーザー(現スパルタ監督。代表コーチ就任後は兼任)、フランス・フック(現日本サッカー協会GKプロジェクトアドバイザー)の3人。

 EURO2020(6月11日〜7月11日)に出場したオランダ代表は、ラウンド・オブ16でチェコに0対2と完敗。フランク・デ・ブール監督は辞任した。KNVBのダイレクターを務める2人、エリック・フッデとニコ・ヤン・ホーフマは7月8日から9日にかけてファン・ハールの別荘があるアルガルベ(ポルトガル)を訪問。このミーティングでファン・ハールのオランダ代表監督就任が内定した。

 発表は16日を目処に行われる予定だったが、契約や条件の詳細を詰めたり、コーチングスタッフの任命・交渉などで時間がかかってしまった。しかし、この10日間、KNVBとファン・ハール本人が精力的にテクニカル・スタッフ人事を進めていたことから、彼の監督就任はオランダ国内では既定路線となっている。

■ファン・ハールの復帰を求める圧倒的な声

 2016年にマンチェスター・ユナイテッドを退団してから5年。すでに過去の人となった感のあるファン・ハールだが、ことあるごとにオランダ国内では『ファン・ハール代表監督復帰待望論』が湧き上がる。フランク・デ・ブール辞任後、オランダのメディアが実施した『次期監督は誰か?』というウェブアンケートの結果は下記のとおりだ。

フットボール・インターナショナル(専門誌)

1.ファン・ハール30%(2178票)

2.コンテ  12%(886票)

3.ファン・ブロンクホルスト10%(685票)

4.ラングニック10%(684票)

5.テン・ハーフ 8%(553票)

アルヘメーン・ダッハブラット(全国紙)

1.ファン・ハール32%

2.ファン・ブロンクホルスト15%

3.ボス13%

4.テン・カーテ12%

5.コンテ10%

 KNVBと遺恨のあるヘンク・テン・カーテ(現アル・ワフダ)が、今回の代表監督レースに自ら降り、「将来の代表監督候補」と目されるペーター・ボスが6月下旬にリヨンの監督になったばかりという背景があるにしても,ファン・ハール推しの票は圧倒的だ。 

 ファン・ハールはアンチも多いが、監督としての手腕はオランダサッカー界の歴史に残るものださらに、オランダには“トップフットボールの世界”で結果を残せる監督に乏しいという現実がある。

 6月下旬には新監督探しの指針が「リーダーシップがあり、選手の上に立てるボスタイプ」であることが明らかになり、オランダ国内では「KNVBの本命はファン・ハールだな」と多くの人が察した。

■最初の山場は9月7日のオランダ対トルコ

 ファン・ハールのオランダ代表監督1期目は欧州予選で敗れてしまい、スター軍団のオランイェを2002年の日韓ワールドカップに導くことが出来なかった。2期目は、ベテランと若手が一丸となって戦うチームを作り、2014年ブラジルワールドカップで3位という成功を収めた。

 3期目の今回は、9月のワールドカップ予選シリーズが初仕事になる。オランダは9月1日にノルウェー(アウェー)、4日にモンテネグロ(ホーム)、7日にはトルコ(ホーム)と戦う。

 トルコには3月のアウェーマッチで2対4と負けており、今回は必勝体制で臨む必要があるが、「さすがにファン・ハールにも時間がない」とオランダメディアは先週、報じていた。しかし、即効性のある策を授けることができそうな監督が、他になかなか見つからないのがオランダの現実である。

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

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