【一宮市】一宮聾学校の防災訓練。そこから見えたものとは。
2022年9月6日(火)に行われていた、一宮聾学校の防災訓練を取材してきました。
一見、どこの学校でも行われている防災訓練。ですが実際は、様々なところに気を配られた、他校では見られない訓練でした。
午前10時50分、子供達は何も知らされていない状況の中、訓練開始。
想定の災害は「震度6弱の地震発生」です。
一宮聾学校では、廊下等の至るところに3種類の色に光るライトが設置されています。
写真のように黄色く光っている場合は「地震発生」、赤は「火災発生」、緑は「その他(不審者侵入等)」のように、何が起こっているのか一目でわかるようになっていました。
トイレに入っている場合でも、ランプが点滅するようになっていましたから、何かが起こっていることに気づくことができます。
ランプを確認し、各教室にてシェイクアウト訓練が行われた後、先生と一緒に子供達が避難を開始しました。
突然の訓練にもかかわらず、粛々と避難している様子に、日頃から訓練がしっかり行われていることが伺えます。
幼稚部のみんなは防災頭巾をかぶって!
ヘルメットもしっかりかぶり移動します。
この日は雨だったので、体育館に集合することとなりました。
体育館では、各クラス毎に人数確認が行われています。
更に先生方は、各教室に残っている子供達がいないか確認しに行き、教頭先生に報告されていました。
訓練の最後には、校長先生からお話があります。
「事前に知らされていなかったから、驚いた子もいると思いますが、落ち着いてしゃべらずに移動することができ、素晴らしかったです。」との感想がありました。
ちなみに、聴覚障害の方にとって大切なのが、お顔全体がみえること。
コミュニケーションをとるには、手話プラス、口の動きが頼りになるので、先生は写真のようなマスクをつけていらっしゃいました。
口の見えるマスクは、10回位洗って繰り返し使えるそうです。
[ 一宮聾学校について ]
一宮聾学校は、幼稚部、小学部、中学部、高等部があり、現在65人が在籍しています。
愛知県の聾学校は全部で5校。一宮市は大和町にあり、家が遠い児童や生徒さんは、寄宿舎で生活を送っているそうです。
現在は医療技術の発達や補聴機器の活用等により、全く聞こえない子の方が少なくなってきているとのお話も伺いました。
この度、一宮聾学校の防災訓練を取材させて頂き一番強く感じたことは、コロナ禍によるマスク生活の弊害が大きく出ているということです。
頼りにしたい表情や口の動きが普通のマスクではなかなか伝わりづらいため、その部分に対する先生方の努力をひしひしと感じました。
又、同時にマスク生活はいつ終わるのだろう? とも思いました。
マスク生活が終われば、その人全体を目一杯感じられるのにと。
災害時のコミュニケーションもマスクをしているときより何倍もうまくいくのにと。
聴覚障害者独自の世界で見えた「コミュニケーションの大切さ」。
ここから何ができるのだろうと取材後、ずっと考えています。