2020年の新成人の6割強は「経済的余裕が無くて車を保有できない」
「若者の(自動)車離れ」が叫ばれる昨今、その若者自身は車にどのような気持ちを抱いているのか。新成人の人達の意見をソニー損害保険が2020年1月に発表した調査報告書「2020年 新成人のカーライフ意識調査」(※)から確認する。
昨今の「若者の車離れ」と呼ばれている状況に対し、若者自身の代表的な立場となる新成人にいくつかの質問を実施。それぞれに「とても当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「あまり当てはまらない」「まったく当てはまらない」の5つの選択肢から自分の気持ちにもっとも近いものを選んでもらい、そのうち前者2つ、つまり「当てはまる」派の回答数をまとめた結果が次のグラフ。例えば「若者の車離れ」とは自分のことの項目では全体で37.4%なので、1/3超の新成人は「とても当てはまる」「やや当てはまる」のいずれかと答えている。掲載されている数字以外はすべて否定派ではなく、「どちらとも言えない」も含まれていることに注意が必要。
注目すべきは「車保有の経済的余裕が無い」。こちらは6割強の同意率。購入時の初期投資コスト、各種維持費、そして車検代と定期的に多額の出費を求められるため、自動車の保有にはそれなりの経済的裏付けが求められる。その裏付け(に自信)が無い人が、新成人の6割強もいる実態は、自動車関係者は大いに認識しておくべき。
新成人の限りでは「若者の車離れ」を自認している人は1/3強。微妙な値ではある。一方「車に興味があり」とする人は全体では4割近くだが、男性の方が高めの値を示している。自動車への必然性が高い立場にあることを考えれば、興味を示すのも当然。
一方、車そのものの魅力に関する話だが、「保有はカッコイイ」「保有している大人はカッコイイ」「メーカーに若者向けの車を作ってほしい」との話は全体で4割台に留まっている。カッコよさは男性よりも女性の方が認識していること、男性はメーカーに若年層向けの車を女性と比べれば強く求めていないなど、興味深い動きも確認できよう。
なお自動車保有関連で常に言及される、経済的余裕に関する視点においては、実のところは(少なくとも今調査項目の始まった2011年以降では)大きな変化は無い。なお2019年以降では都市部・地方の区分における値が非公開のため空欄となっている。
少なくともこの数年では、経済的視点からの「若年層の自動車離れ」に変わりはなさそうだ。あえて言えばここ数年に限れば多少ながらも減っているように見える、ぐらいだろうか。
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※2020年 新成人のカーライフ意識調査
2019年11月8日から11月15日にかけて2020年の新成人男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。なお今件調査における「都市部」とは、市・区における人口ランキングの上位都市(1位から8位)である、北海道札幌市、東京都23区、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、京都府京都市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市。それ以外はすべて「地方」。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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