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ホンダが二輪パーツカタログをWEB公開 ユーザーと販売店の双方にメリットあり!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
写真はイメージです。(ペイレスイメージズ/アフロ)

ホンダ現行機種すべてに対応

ホンダの二輪パーツカタログが7月31日より公式ホームページ上で公開された。

ユーザーの期待を上回るアフターサービス提供と、販売店の負荷軽減を目指したもので、2018年7月現在の現行機種全てを対象としている。今後発表される新機種についても順次追加される予定だが、旧モデルに関しては未定とのこと。また、コンペモデル、郵政機種、その他特殊機種は除かれている。

なお、部品価格の変動や部品交換作業費等に関するトラブルを防止するため、一般公開のパーツカタログは通常版とは異なり、部品価格及び交換工数は非表示となっている。また、安全上などの観点で整備士資格取得者による交換作業が望ましい場合は、ホンダの販売店へ修理入庫するなど、適切な対応をすすめている。

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本来はプロ向けの情報

バイクの整備をする際には、「サービスマニュアル」とともに「パーツカタログ(パーツリスト)」は欠かせないものだ。簡単に言うとサービスマニュアルとはそのモデルの点検・整備・調整などの方法が詳細に記されているメカニックのための参考書のようなもの。新車を買うと付いてくるオーナーズマニュアル(取扱説明書)が日常点検+α程度の情報に留まるのに対し、サービスマニュアルには特殊な例を除いてほぼ全ての整備情報が網羅されている。

一方のパーツカタログはまさに純正部品の一覧表。ボルト1本からクランクシャフト丸ごと1本まで詳細な分解図とともに品番で管理され、もちろん1個からでも注文することができる。販売店で我々が整備や修理を依頼すると、この2つのブックの情報を基にパーツのメーカー在庫を確認し、整備に必要な時間工賃(技術料)を割り出し、見積を出してくれるわけだ。つまり、本来はプロメカニックのためのものだ。

ちなみにサービスマニュアルやパーツリストは車種・型式ごとに揃っていて、販売店などで一般ユーザーでも購入できる。昔からベテランライダーや整備マニアはページを真っ黒に汚しながら自分で整備したものだ。

欲しいパーツに数分でアクセスできる

話を戻して、今回ホンダが公開した二輪パーツカタログはWEB用に新たに改訂されたもので、公式ホームページから「排気量」「モデル名」「年式」などを入力するとPDFファイルとして即ダウンロードできる。誰でも家にいながらPCやスマホからでも簡単にアクセスできるという優れモノだ。

実際にCB1300SFの2014年モデルでブレーキレバーの品番を確認してみたが、ものの2~3分で辿り着くことができた。まず「パーツカタログの構成」にざっと目を通すといいだろう。フレーム番号やエンジン番号などの車両情報の見つけ方が分かりやすく図説されている。

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▲「パーツカタログの構成」ページ例

パーツの検索方法にはいくつかの方法があるが、図解された「イラストインデックス」から探すのが早いかも。今回の場合は「フレームグループ」の「F-4」から「見出し番号20」へと導かれ、そこに正式な「部品番号」と「部品名」が載っていた。購入する場合はその情報を販売店に伝えるだけだ。

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▲「イラストインデックス」からの検索例(画像は一部加工してあります)

WEB公開で選択肢が広がった

ちなみに ヤマハやカワサキでも同様のシステムを既に採用しているが、ユーザーが自分で必要なパーツを簡単に探せて、販売店やネット通販を通じて即オーダーできる便利さやスピード感は気持ちがいいし、販売店にとってもパーツ発注にかかる手間が大幅に省けるはずだ。もちろん、少しでも不安があるなら販売店に足を運んでじっくりスタッフと相談するのもおすすめだ。

そして、もうひとつ。パーツカタログをしげしげと眺めているだけで、バイクという乗り物の構造や仕組みへの理解が深まるし、セルフメンテナンスの勘所なども分かってくるはず。その意味でも、こうした情報のWEBでの一般公開は有意義なことと言える。大いに利用しようではないか。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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