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日本は政府の信頼度は低いものの、国債の信任度とは異なるのはどうしてか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 18日付けの日本経済新聞で、面白い記事が掲載されていた。「政府信頼度、日本の低さ顕著」との記事である。これによると世界11か国を対象にした国際的な世論調査によると、日本は他国に比べて政府への信頼度が低い傾向があり、「政府を信頼している」と答えた人の割合は日本は37%。11カ国のなかで最も低いとか。

 この国際的な世論調査とは、米PR会社のエデルマンが世界11カ国のおよそ1万3000人を調査したものであり、エデルマン社の日本語サイトのなかでもこの調査結果がアップされていた。

https://www.edelman.jp/research/20200609

 これによると世界11か国、約13200人を対象に2020年4月15日から4月23日にかけて実施した調査結果を発表し、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界各国の政府、企業、メディア、NGOに対する信頼度にどのように影響を与えているのかを説明。最も特筆すべき点は、日本以外の全ての調査対象国では、政府に対する信頼度が、前回調査より大幅に上昇したのにもかかわらず、日本だけが低下していたそうである。

 これは新型コロナウイルス対策について、政府の対応を国民がどのように評価していたのかを調べたものともいえるか。さらにこの調査によると政府に対する信頼が低い傾向にある国では、地方政府に対する信頼度が、中央政府に対する信頼度よりも高い傾向にあるとか。

 この調査結果によると日本の政府信頼度は38となっており、11か国中最下位であった。トップは中国の95、2位はインドの87、3位はサウジアラビアの83。米国は10位の48となっていた。

 これがすなわち国債や自国通貨の信任度となっているのかといえば、さすがにこの並びをみても違うと言わざるを得ない。国家体制の違いなども反映されている面もあろう。それでも日本だけでなく米国での政府信頼度の低さは気になるところではある。

 ちなみに国債と自国通貨については、時の政府への信頼度や信任が直接反映されるわけではない。むしろ、それから切り離されている。つまり昔で言えば、国王への信用度は踏み倒されたりしたため低く、その分、国王による借金の利子は高かった。それに対し、永久機関である議会の信任をもって徴税権を担保に発行しているのが国債である。さらに政府とは別の機関、つまり中央銀行という組織が発行しているのが通貨となる。

 このように国債や通貨が現政権の信任度合いに影響するわけではないものの、政府の信頼度を高められるような政策も行ってもらいたいものだと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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