長期金利が復活、債券村はベテラン勢の出番なのか
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11月1日に10年国債の利回りは0.970%と2013年5月以来、約10年5か月ぶりの水準に上昇した。
日銀は10月31日まで開いた金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロールを再修正し、長期金利の上限を1%をめどとし、長期金利の1%超えを容認する姿勢を示した。これを受けて10年国債の利回りは0.970%まで上昇した。
1日に付けた0.970%が目先の高値となり、その後は2日の10年国債入札が無難な結果となったことや、米長期金利がいったんピークアウトしたことで、その後の日本の10年債利回りは低下した。
長期金利が1%に接近してきたことで、「金利ある世界」を知る債券市場のベテランの出番かとの声も出ている。しかし、1990年あたりまでの高金利を知る現役の市場参加者は少なくなっている。
また、高い金利を知っているからといって今後の金利の動向に対応できるかといえば疑問も残る。
長期金利が0.5%あたりの際に、1.0%までにはまだ距離があるという発言があったが、それに対して私は、距離なんかないよと思ったように、過去の金利上昇をみてきた経験が生かされることはあるかもしれない。
1%や2%の金利が低すぎると思っていた時代の経験者の金利観は、もしかすると役立つ場面はあるかもしれない。しかし、金利を形成する要因そのものが昔と今は大きな違いがあり、ベテランだから金利が読めるかどうかとなるとやや疑問が残るのである。
たとえば国債残高だけみてもまさに桁違いである。そこに日銀による関与の度合いなども異なる。物価をみても過去の物価上昇時は参考とはなっても、やはり原因などに違いがあり、なかなか先行きを見通しづらい面がある。
だからこそ金利が上でも下でもフレキシブルに動けるようにする必要がある。これは日銀の金融政策についても同様となるはずなのだが、それを頑なに拒む日銀そのものが最大のリスク要因となっている。