今後の住宅ローンの金利はどうなる
日銀は早ければ3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除に動く可能性が強まってきた。さらにその後のゼロ金利政策の解除、つまり短金利がプラスとなる可能性も出ており、金利が付く時代が戻ってくることが予想される。
個人にとり住宅ローンを組む場合に金利の選択が今後の大きな課題となる。固定金利と変動金利、どちらを選択したら良いのか。それは今後の日銀の金融政策と長期金利の行方に大きく影響する。
日銀の金融政策が今後どうなるのか。今後の日本の長期金利がどう動くのかを的確に予測することは困難である。金利を取り巻く状況が今後は変わってくることが予想されるため、それによるリスクを知っておくことが重要となる。
日銀は2016年2月から続けていたマイナス金利政策を解除したあとは、いわゆる「ゼロ金利政策」と呼ばれる通常の金融緩和政策に戻ることが予想される。その後は、利上げが視野に入り、0.25%から0.50%あたりまでの利上げが想定される。ただし、これも状況次第で当然変わってくる。利上げそのものがなくなることや、むしろ想定以上の利上げもが行われることもありうる。
いずれにしても、これまでのように住宅ローンの変動金利は低いまま動かないと決めつけるのはリスクがある。急激な上昇は現状は考えづらいものの、今後は上昇してくる可能性は高い。
長期金利については日銀が完全にイールドカーブ・コントロール政策を撤廃しない限り、日銀がそれをコントロール下に置くことも予想される。2023年7月に日銀は長期金利のコントロールの上限を1%の目途としたことで、1%超えも容認した上で、指値オペなどで長期金利を一定に押さえつけることは考えづらくなった。ただし、その撤廃が明らかになるまでは、日銀が押さえつけに動く可能性は残る。
そして欧米の中央銀行が2024年中にも利下げに動くとの予想も強く、日銀の政策金利の引き上げがあっても限定的との見方もある。欧米の長期金利が低下してくれば、日本の長期金利の上昇も抑制されよう。
今後の金利の動向はある意味、日銀次第の側面があり、その日銀はアベノミクスなどの政治的な影響を受けやすかったことも考えると、日本の政局の行方が、日銀の金融政策にも影響を与えうる。
あまりに不透明要因が多いため、将来の金利動向を正確に捉えることは難しいといえるものの、政治的にも安倍派の圧力の後退などから、日銀は正常化に動き易くなっている点にも注意したい。
どの程度までの金利上昇に耐えうるのか。自分なりのシミュレーションなども行って、今後の金利変動をどの程度容認できるのかを前もって試算するなどしておくことも必要になると思われる。