Yahoo!ニュース

澤村拓一の前に「レッドソックスで投げた日本人投手」は、7人中4人がワールドシリーズで優勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
澤村拓一 MARCH 6, 2013(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今シーズン、澤村拓一は、ボストン・レッドソックスで投げそうな気配だ。2月上旬に、MassLive.comのクリス・コッティーロが「交渉は進んでいる」とツイートしたのに続き、MLB.comのイアン・ブラウンも「契約間近」と報じた。彼らは、どちらもレッドソックスのビート・ライターだ。

 これまでに、レッドソックスのユニフォームを着て、メジャーリーグでプレーした日本人選手は、7人を数える。大家友和(1999~2001年)、野茂英雄(2001年)、松坂大輔(2007~12年)、岡島秀樹(2007~11年)、斎藤隆(2009年)、田澤純一(2009、11~16年)、上原浩治(2013~16年)。いずれも投手だ。彼らのうち4人は、レッドソックスで栄光を味わった。松坂と岡島は2007年、田澤と上原は2013年に、ワールドチャンピオンとなった。

 一方、昨シーズンのレッドソックスは、ア・リーグ東地区の最下位に沈んだ。また、昨オフは、ムーキー・ベッツ(とデビッド・プライス)をロサンゼルス・ドジャースへ。今オフは、アンドルー・ベニンテンディをカンザスシティ・ロイヤルズへ放出した。2018年にワールドシリーズで優勝した時に、彼らと外野トリオを組んでいたジャッキー・ブラッドリーJr.も、今オフにFAとなった。過去3年はほとんどプレーしていなかったが、2007年と2013年の優勝時に中心選手だったダスティン・ペドロイアは、キャリアに終止符を打った。

 ただ、本格的な再建に突入する気はないようだ。外野を守る予定の3人のうち、ベッツのトレードで得たアレックス・バーデューゴは、すでに開花しつつある。ベニンテンディのトレードで入手したフランチー・コルデロは、パワーのポテンシャルが極めて高い。今オフに契約したハンター・レンフローについては、昨年12月に「レッドソックスが手に入れたスラッガーは、本拠地の球場にぴったり!?」で書いたとおりだ。

 他にも、ともにスーパー・ユーティリティとしての実績を持つ、キーケー・ヘルナンデスマーウィン・ゴンザレスの2人と契約。打線の中軸には、ザンダー・ボガーツラファエル・デバースJ.D.マルティネスが並ぶ。さらに、まだ球団が決まっていないブラッドリーJr.を呼び戻す可能性もある。

 野手陣ほどではないものの、ローテーションにはギャレット・リチャーズを迎え、マーティン・ペレスとは再契約を交わした。後半戦を迎える前には、クリス・セールも戻ってくるはずだ。ブルペンも、ニューヨーク・ヤンキースからアダム・オッタビーノを獲得するなど、新メンバーは澤村だけではない。

 今シーズンのア・リーグ東地区には、誰が見ても地区優勝というチームが見当たらない。いずれも、ローテーションに不安を残す。ヤンキースの場合、ゲリット・コールに次ぐ2番手のコリー・クルーバーは、2014年と2017年にサイ・ヤング賞の実力者だが、過去2シーズンの登板は計8試合に過ぎない。昨年はリーグ優勝を果たしたタンパベイ・レイズからは、ブレイク・スネルチャーリー・モートンが抜けた。再建から収穫へ移行したトロント・ブルージェイズも、菅野智之(読売ジャイアンツ)と契約できなかったこともあり、ローテーションは万全ではない。

 現時点で予想するなら、レッドソックスの順位は、この3チームに次ぐ地区4位だろう。ただ、うまくいけば、ワイルドカードにとどまらず、地区優勝もあり得る。

 ちなみに、松坂と岡島のワールドシリーズ優勝はともにメジャーリーグ1年目、上原はレッドソックス1年目だった。上原が入団する直前のシーズン、2012年のレッドソックスは、地区最下位に終わっていた。また、2007年の岡島、2013年の上原と田澤は、3人ともレギュラーシーズンで65試合以上に登板し、それぞれ、5セーブ&27ホールド、21セーブ&13ホールド、0セーブ&26ホールドを記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事