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【ゴルフ】松山英樹1打差でマスターズ優勝 味方した運 1番ホールのセカンドショットは紙一重の差

野洲明ゴルフ活動家

松山英樹 マスターズ制覇

4月8日から11日に開催されたマスターズで松山英樹が優勝した。日本人初のメジャー制覇を松山英樹がやってのけた。日本人初は松山英樹だと思っていたゴルフファンは多かっただろう。しかし、2017年WGCブリヂストン招待を最後に米ツアー優勝が無かったことや、一時2位まで上昇した世界ランキングは25位(2021年4月4日時点)まで下降していたことが影響して、以前に比べて「優勝」の二文字を期待していたゴルフファンは多くはなかったのではないだろうか。

ショットだけ見ればいつメジャーを勝ってもおかしくない精度を誇っていた。アイアンショットに関しては近年の安定感を見ると"世界一"と言っても過言ではないかもしれない。問題はパッティング。

パッティングに難がある松山にとっては3日目プレー中の雨天(中断)は、幸運だったと言えるかもしれない。グリーンが重くなったことで、松山にとってタッチが合うグリーンになったとみることができる。また、15番のロングホールで果敢に2オンを狙い、イーグルチャンスにつけることができたのも、グリーンが柔らかくなったことが影響したからかもしれない(結果イーグル)。それらの結果、3日目のスコアは65。2位に4打差の首位で最終日を迎えることができた。

紙一重の差で木に当たらなかった1番ホールのセカンドショット

最終日の中盤は2位以下を引き離し、楽勝の雰囲気が漂い始めたが、やはりマスターズではそうはいかなかった。終わってみれば2位に1打差での優勝となった。

最終日のプレーを振り返った時に挙げられるポイントとなるショットはいくつかある。大きな意味を持つパーパットやアプローチショットがあったが、1番ホールのセカンドショットも最終日のプレーのポイントに挙げられる大きな1打だったように思う。

松山は1番ホールのティーショットを大きく右に曲げた。セカンドショットは林の中。ピンの方向から少し左方向が最も木と木の間が広かったが、ピン方向のやや狭めの木と木の間を狙った。結果、狙いよりも右にボールが打ち出され、狙いとは別の狭い木と木の間(別の木と木の間に見えた)を通って林から脱出した。

つまりこの時松山はミスをした(インパクトでクラブヘッドが地面にある何かに引っかかったリアクションがあったからミスとは言えないかもしれないが)。しかし、運よく紙一重の差で木に当たらずにフェアウェイにボールを出すことができたのだ。

もしこのセカンドショットで木に当たって林から脱出できていなければいたらどうなっていたか。ボギーだったこのホールがダブルボギーやトリプルボギーとしていたらどうなっていただろうか。平静を保つことが難しくなり、その後のしぶといパーセーブもファインショットも無かったかもしれない。4打あった2位までの差を使い果たし、中盤あたりで優勝争いから後退していたかもしれない。それぐらいこの1打は大きかったと思う。

もちろん運だけでマスターズを勝てたわけではない。勝てるわけがない。難があったパットが好調で、得意のアイアンショットとパットが多くのホールで噛み合った。それが他の選手より上を行っていたからこそ、1番ホールの運を生かすことができたのだ。

一般ゴルファーは一番広い木と木の間を狙うべき

一般ゴルファーがこの松山の1番ホールのセカンドショットの状況になった時は、迷うことなく、一番広い木と木の間を狙うべきだ。松山クラスでも狙い通りの方向に打ち出すのは難しいのだし、今回の松山のセカンドショットのようなラッキーを期待してはいけない。グリーンに少しでも近づきたいからと言って、「トライ」しても多くの場合それは「無謀」なものになる。

仮に、無謀なトライに成功したとしても、得られるリターンはさほど大きなものにはならないケースがほとんどだ。ならば、リスクを回避して安全に林から脱出し、次のショットで勝負することが賢明だ。

今年の残りのメジャーにも期待

米ツアーの優勝からは遠ざかっていたが、着実に力をつけていたことを証明した松山。次はメジャー2勝目を目指すことになる。さらにはグランドスラム(メジャー全制覇)。戦いは続く。全米オープン、全英オープン、全米プロ、今年の残りのメジャーでの松山の戦いにも期待したい。

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ゴルフ活動家

スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとに、論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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