前年度比でマイナス6パーセント…確実に減少を続ける電話による通話回数
電話は元々遠距離間で会話による意志疎通を可能とする道具で、その機能は現在も多々用いられている。他方、インターネットの普及でコミュニケーションがより便利になり、通話はその利用回数を減らしている。その実情を総務省が2015年12月に発表した「通信量からみた我が国の通信利用状」などから探る。
2014年度(2014年4月~2015年3月)における、日本国内の通話通信回数は総数で932億0000万回。前年度の990億4000万回から5.9%の減少となる。
各様態区分別ではIP電話が唯一プラス圏にあり、前年度比でプラス3.2%を記録している。他方、固定系発信はマイナス11.3%、そして携帯電話・PHS系も2011年度までの増加傾向から転じてマイナスの値を示し、今年度もマイナス5.4%の結果に。
携帯電話の動きがマイナスに転じたことが気になる人もいるかもしれない。これは通話回数全体の減少と同じ理由で、電話を使ったコミュニケーション手段が、音声通話からデジタル(電子メールやチャット、ソーシャルメディア経由)にシフトしつつあるのが要因と考えられる。「携帯電話・PHS」項目に含まれるPHSもかつては契約数を順調に伸ばしていたが、それも2014年からは減退に転じ、携帯電話の通話利用減退状況をさらに後押しする形となった。
携帯電話も契約数そのものは増加の一途にあるが、それに反して「携帯電話全体でも」通話利用量は漸減を続けている。
知人との間はもちろん親子でも手持ちのモバイル端末で、音声通話では無くデジタルを用いた意志疎通に重点が置かれるようになりつつある。携帯電話は今や「携帯情報端末」であり、従来メインのはずの「電話」機能は「必要不可欠に違いないものの、最多利用機能ではない」存在。
今後さらに「通話減少」の動きは加速化していくに違いない。しかしそれがそのまま人と人とのコミュニケーションの減退を意味していることは意味しない。単に手段が新しいツールに移り変わりつつある、より便利な手法がより多く用いられるようになる。ただそれだけの話に過ぎない。
■関連記事: