健康や病気についてが一番不安…高齢者の将来への不安の中身とは(2022年公開版)
よほどの楽天家でない限り、人は不安を持つもの。高齢者も当然、多様な不安を抱えて生活している。高齢者は将来の日常生活に関して、どのような不安を抱いているのだろうか。内閣府が発表した「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは高齢者から成る調査対象母集団に対し、将来の日常生活全般について不安となるものを複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人が不安として挙げているのは「健康や病気」で70.3%が同意を示している。
年を重ねて体のあちこちに衰えを覚えるようになると、現状の病症を悪化させずに済むのか、さらに新しく病気などの身体上のトラブルを抱えることになるのではないかとの不安を持つのは当然のことである。
次いで多いのは「介護が必要な状態になること」で60.3%。これは回答者自身に限らず、配偶者も含めての話。寝たきりや身体が不自由になって介護が必要になれば、生活そのものに非常に大変な負担がかかることになる。そのような状況に直面した時、果たして対応ができるのか、不安を感じるのはよく分かる。「肉親の世話」も似たようなものだろう。
さらに「生活のための収入」といった、日々の生活の中でも切実に感じている人も多いであろう事柄が入るが、こらちは31.9%。そして自分や配偶者のことではなく、子供や孫に対する不安として「子供や孫などの将来」が入ってくる。
高齢者と若者との間のコミュニケーションにかかわる話でよく指摘される「社会の仕組みが大きく変わる」「言葉や生活様式が大きく変わる」はそれぞれ17.4%・7.1%と、不安対象としてはそれほど大きなものではない。他の事柄への不安が大きく、そこまで気が回らないのだろうか。
これを未既婚別に見たのが次のグラフ。
結婚経験無しの人は「頼れる人がいなくなる」「社会の仕組みが大きく変わる」などで大きな値を示している。独り身の人が多数であろうことから、これらの不安が大きくなるのも理解はできる。そして当然ながら結婚経験無しの人は「子供や孫などの将来」に不安を持つ人はほとんどいない。また「肉親の世話」も高い値が出ているのは注目に値する。
他方、現在配偶者・パートナーがいる人は「健康や病気」「介護が必要な状態になる」で大きな値が出ている。これは回答者自身だけでなく、配偶者・パートナーに対しても心配をしなければならないからだろう。
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※高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査
2021年12月6日から12月24日にかけて、層化二段無作為抽出を用いて選ばれた全国の60歳以上の男女に対し郵送調査法で行われたもので、有効回答数は2435人。男女比は1188対1247。
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