「史上最低のミラン10番」と容赦ない本田圭佑評だが、韓国の欧州組はどうだったのか
スペインやイタリアの優勝クラブも決まり、欧州サッカーの2016-2017年シーズンが幕を閉じようとしている。残すは6月3日に行われるヨーロッパ・チャンピオンズリーグ決勝のみとなったが、今、もっとも気になるのは本田圭佑のことではないだいだろうか。
イタリアの名門ACミランで背番号10を背負いながら、近年は出場機会に恵まれず、ついに先日、ACミラン退団の意志を発表した本田の去就については韓国も注目している。
本田が自身のツイッターで退団の移行を発表すると同時に各メディアが一斉に報じ、その3年間を振り返っている。なかには、「史上最悪のミラン10番」と酷評するものもあった。
(参考記事:「史上最悪のミランの10番」。本田の退団表明を韓国メディアとファンはどう見たか?)
リオ五輪の悔しさと涙を力に変えたソン・フンミン
もっとも、韓国のメディアやファンの日本人選手評が厳しいのは今に始まったことではない。ドルトムントでプレーする香川真司については「金融投資型MF」と容赦がなかったし、昨季は「アジアのロールモデル」「アジアのテベス」と絶賛していた岡崎慎司についても今季は厳しい。
同じくプレミアリーグで活躍するトッテナムのソン・フンミンと比較しながら、「ソン・フンミン、岡崎慎司も圧倒」(『デイリーアン』)とするメディアもあるほどである。
確かに今季のソン・フンミンは大活躍だった。今季はプレミアリーグで14得点6アシストを記録。FAカップやヨーロッパカップも含めると、21得点7アシストとなる。
ヨーロッパに進出した韓国人選手の1シーズン最多得点記録保持者は、1985-1986年シーズンにブンデスリーガで活躍した韓国サッカー界の英雄チャ・ボングンが記録した19得点だが、ソン・フンミンは先人の偉大な記録を更新し、韓国の歴代欧州組のナンバーワンになったのだ。
昨季はリーグ戦4得点1アシストに止まり、リオデジャネイロ五輪でも目標とするメダル獲得がならず、人目も気にせずピッチに泣き崩れたソン・フンミンだが、終わってみれば今季は“最高のシーズン”となったと言えるだろう。
(参考記事:リオ五輪ピッチに泣き崩れたソン・フンミンの涙のワケと“最悪のシナリオ”)
韓国代表の欧州組は散々。期待と関心は“バルサ・デュオ”に!?
ただ、韓国の欧州組で際立った活躍を見せたのはこのソン・フンミンとファン・ヒチャン(ザルツブルク)ぐらいだろう。日本の南野拓実とはザルツブルクでチームメイトでもあるファン・ヒチャンは、リーグ戦14得点を記録して期待以上の活躍を見せた。
韓国の人気美女アナでサッカー情報番組のMCを担当することから別名“サッカー女神”とも呼ばれるイ・ユギョンも、ソン・フンミンやファン・ヒチャンの活躍を報じる姿は嬉しそうだった。
だが、ドイツ・ブンデスリーガのアウクスブルクに所属するチ・ドンウォンは35試合出場4得点3アシストに終わり、同じくアウクスブルクに属するク・ジャチョルは今季これといった活躍を見せられず、シーズン終盤に膝を負傷して帰国の途についている。
長くプレミアリーグでプレーする二匹の“ヨン(龍)”も不振だった。イ・チョンヨンとキ・ソンヨンだ。クリスタルパレスに籍を置くイ・チョンヨンは今季も15試合しか出場できず、しかもほとんどが途中出場だった。
キ・ソンヨンも今季はリーグ戦出場24試合中、11試合が途中出場で0得点1アシストと散々だった。そんなこともあってシーズン中には「驚愕の中国進出説」も浮上したほどである。そこには、韓国と中国のサッカー界の複雑な事情も関係していたようだが、日本同様に韓国の欧州組の状況もさほど変わらないのだ。
それだけに最近の韓国メディアやファンの関心は、苦戦する欧州組よりも未来のスターたちに注がれている。
現在、韓国で行われているU-20ワールドカップにはペク・スンホ&イ・スンウというFCバルセロナの下部組織出身の選手がいるが、彼らは今や希望の星。“バルサ・デュオ”と呼ばれる彼らが、一日でも早くトップチーム・デビューを飾る日を待ちわびる声が多い状況だ。
(参考記事:韓国のイ・スンウとペク・スンホはなぜ、バルサの一員になれたのか)
いずれにしても日本も韓国でも、ヨーロッパに進出した“欧州組”には大きな期待と関心が集まる。これからは各自の契約問題な移籍先など、去就にも注目が集まるだろう。本田の去就もどこになろうと、進展があり次第、韓国でも詳しく報じられることだけは間違いないだろう。