京都最古の禅寺である建仁寺の”夜間プレミアム拝観”が始まりました！

タイトルは『ZEN NIGHT WALK KYOTO』
ニューロミュージックというヒーリングサウンドを聞きながら、妖艶なネオンカラーの光に照らされた絵画や庭園を眺め、”禅”の精神を体感。伝統文化と現代科学のコラボレーションで京都の夜を涼やかに彩ります。

昼間はうだるような暑さで街歩きは苦行ですが、日没の時間帯になると少し和らぎ、夏の風情を楽しむ余裕が生まれますね。
夕焼けに染まっていく空と鴨川を眺め、建仁寺を目指します。

夜間拝観スタートの19時頃はまだ少し明るいですが、建物内に一歩入ると暗く、特別な夜時間の始まりを感じました。

先ず目にするのは、画家／小泉淳作さんの作品。
昼間は、小泉さんの生誕100周年を記念して絵画展を開催中。夜間拝観では作品の異なる装いを見ることが出来ます。

下から当てられた強い光は影を濃く作り出し、絵画の白と黒の美しさを際立たせているように感じました。普段、中々体験することがない”ナイト・ミュージアム”を楽しむことが出来ます。

こちらも小泉画伯の作品「蓮池」
じっと眺めていると、ここは黄泉の庭園なのではと錯覚します。泥の中をかき分けて茎を伸ばし、天を仰いで咲く睡蓮の花の経過に思いを馳せました。

[○△□乃庭]×[光]×[ニューロミュージック]
禅宗の四大思想”地水火風”を表現した「○△□乃庭」が光と音で大変身。くるくると光が走り回り、異世界を思わせるサウンドが鳴り響きます。
会場の随所に流れる「ニューロミュージック」は、このイベントの為に制作された”脳がととのう”周波数を放つ癒しの音楽です。”体がととのう”感覚と言えば、サウナ＆水風呂ですが、その状態の脳波を測定し、音楽でその効果が得られるように制作されています。

○△□乃庭では、エフェクトをかけてシータ波になるよう設計された約10分のニューロミュージックがループで流れています。立ち止まって少しの間、この場に浸ってみてください。音と光の演出が、庭の意図：宇宙の根源に思いを巡らせるサポートをしてくれます。

[潮音庭]×[光]×[ニューロミュージック]
夏の今が緑の深いモミジだからこそ、より涼しげで艶やかな色彩空間に。
暗闇の中に光が灯っていると自然に視線と意識がそちらに向き、さらに聴覚は音楽を捉えるので思考が散漫にならず、目の前に集中することが出来ます。集中とリラックスが同時に起こる”脳がととのう”状態は、とても心地よいです。

夜の暗がりで周りがよく見えないことの恩恵は多くあります。小泉画伯の「しだれ桜」も神秘的でとても美しかった。きっと、明るい時間帯に見るのとでは感じ方が違うのだろうなと思います。

枯山水庭園「大雄苑」は、まさに異空間でした。
シューーーッという音と共に霧が広がって雲海になり、鮮やかなピンクや青の光線が庭を駆け巡り、それらにリンクして音楽が流れます。

光と影は地上にとどまらず、木々や建物をなぞって空へ。何もないはずの空間に何かあると思わせる、とてもワクワクする演出でした。

海の水が流れてきて、引いていく。潮の干満のサイクルを超高速で眺めているような感覚にもなります。

いつまでもその場所に居続けたくなる、光と音のループでした。

最後の展示へ向かう道中がなんとも妖しい。思わず摺り足になります。

小泉淳作氏「双龍図」×脇田玲氏「龍雨図」×[ニューロミュージック]のデジタルプロジェクションアート。
段階的に強さを増していく音楽と映像で、龍が雨を降らせる様とエネルギーの流れを可視化した全身で体感するアートです。庭と違い、天井に蓋をしたお堂の中なので音楽が放たれて返ってくる振動が感じられ、より目の前の世界に没入できます。
本来、白と黒の水墨画である阿吽の双龍図が、光によって色を纏う姿がとても美しく不思議で、壮大な神話の世界に飛び込んだよう。

穏やかな音楽と水色の空間が、勢いのある音楽とピンク色に。

自分の頭の中／体の中を見ているような、生命の生い立ちを早回しで見ているような、大自然の営みをエネルギーとして見ているような。感受性が開き、様々な想像が膨らむ空間でした。

絵画の龍が生を持ち、鳴り響く音楽に合わせて舞っているような錯覚に。

建仁寺には、仏教の教えや”禅とは何か”を表現しているものが幾つもあります。
今回の夜間拝観イベント「ZEN NIGHT WALK KYOTO」では、お寺という空間が持つ、体と心がほっとゆるむような穏やかさ・懐の深さを活かし、癒し効果のある”脳がととのう”という状態を意図的に作り出すことで、禅を体感できる仕組みになっています。
脳がととのう状態は、座禅をしている脳の状態でもあるそう。
昼間は賑やかな京都の夏を楽しみ、日が暮れた後は建仁寺を訪れ、夜の暗闇とアートに浸って心身を癒す時間を過ごしてみませんか★