Yahoo!ニュース

欧米の長期金利は直近の上限をトライ、ここを抜けると金利の上昇圧力を強めることも

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米労働省が14日に発表した2月の卸売物価指数はモノとサービスを合わせた総合指数が前年同月より1.6%上昇し、伸び率は昨年9月以来、5か月ぶりの大きさとなった。

 これを受けて、14日の米10年債利回りは一時、4.30%と2月下旬以来の水準に上昇した。

 米10年債利回りの日足チャートをみると、2月につけていた4.3%近辺が上値抵抗線となっていた。3月上旬にいったん4%近くまで低下していたが、3月11日あたりから上昇基調となり、14日に4.3%の節目まで上昇した。

 12日に発表された2月の米消費者物価指数は前年同月比の上昇率が3.2%と市場予想をやや上回るなど、インフレの粘着性を示すデータが相次ぎ、早期利下げ観測が見直されつつある。これを受けて米10年債利回りも再び上昇してきたといえる。

 もし米10年債利回りが4.3%近辺の壁を突破すると、チャート上からは再び5%を目指して上昇してくることも予想される。

 14日の米債売りには、日銀の正常化観測も影響していたとの見方もあった。19日に日銀が正常化を決定し、それを受け日本の国債利回りが上昇基調となった場合には、それも米10年債利回りの上昇要因となる可能性もある。

 ドイツの10年債利回りも、米10年債利回りと同様に2月につけた水準に上昇しつつある。14日にドイツの10年債利回りは2.42%に上昇した。2.45%あたりがチャート上の壁となっているが、ここを抜けて2.5%をこえてくるようだと、米10年債利回りと同様に上昇圧力を強めることが予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事